ドローンが「知性」を持ち始めた。止めるなら今だ
Killer Flying Robots Are Here. What Do We Do Now?
殺人ドローンに攻撃されるリスクはどの国にもあるが、第一弾として最も被害に遭う可能性が高いのは、国境警備が甘く法執行機関が弱い、貧しい国々だ。殺人ドローンを使った戦いは、まずはアメリカよりもアフリカで展開される可能性が高く、犠牲者もより多くなる可能性が高い。
新たな自律型飛行兵器を製造している各企業は、自社製品を激しく売り込んでいる。アメリカと中国はこれまでのところ、完全自律型の兵器の開発および製造の禁止を支持していない。これらの兵器メーカーや新たな殺人ドローンを戦場に配備している各政府の正統性を、暗に認めているのと同じことだ。
このようなドローンが役に立つこともあるのも確かだ。自律型・半自律型ドローンは、戦闘地帯の情勢を変えるのに利用されてもいる。たとえばシリアでは、反政府勢力がドローンを使って(政府軍が使っている)ロシア製の装甲車両を攻撃。安価なドローンを使って、数百万ドルの戦車を破壊している。
しかし、ドローンを有利に使えることのメリットよりも、それが悪意ある者たちの手に落ちて、きわめて精度の低い大量破壊兵器として配備されることのリスクの方が、はるかに大きい。
私たちの行動が未来を変える
無人航空機をはじめ、あらゆる類の殺人ロボットの開発や販売を世界中で停止させるのに、遅すぎることはない。それを実現するためには、複数の超大国が戦略変更を求められることになる。
開発や販売の停止は攻撃システムのみを対象として、あらゆる類の対ドローン防衛システムの開発・販売は許可されるべきだ。そして禁止措置の一環として、裕福な国の政府は、より貧しい国による対ドローン防衛システム購入に資金援助を検討し、また彼らにドローンの大群を打ち負かす方法を教えていくべきだ。ドローン技術は、人類が一丸となって対処すべき、世界規模の問題なのだから。
映画『ターミネーター』シリーズの中では、殺人ロボットは最終的には破壊される。だが現実には、AIを建設的な目的のためだけに使用させるための闘いは今後も続き、決して終わることはないだろう。
AIが殺人ドローンに導入されたことは、AIがもたらし得る混乱を綴った分厚い本の短い第一章にすぎない。私たちが行動を起こすのか、それともその本を閉じてしまうかによって、子どもたちに受け継いでいきたい未来の種類が変わってくる。
その未来は、あらゆる場所に死の不安があるターミネーター型の混乱の世界になるのだろうか。それとも、テクノロジーを紛争や暴力よりも社会を良くする活動や繁栄のために役立てようと人類が団結して取り組む、スタートレック型の世界になるのだろうか。