最新記事

アフガニスタン

バイデンはアフガン人戦争協力者を見捨てなかった

Biden to Announce 'Operation Allied Refuge' to Airlift All Eligible Afghans

2021年7月15日(木)18時07分
ナビード・ジャマリ、トム・オコナー
米空軍の輸送機C-17

アフガン人協力者は米空軍主導で国外退避させることに(写真は米空軍の輸送機C-17グローブマスターIII) U.S. AIR FORCE

<9.11テロの20周年を前に米軍が撤退した後、タリバンの報復を受けることを恐れていた現地協力者は、特別なビザで空路、国外退避することになった>

8月末までにアフガニスタンからの米軍撤退を完了させ、9.11同時多発テロ後20年続いた米史上最も長い戦争を終わらせようとしているジョー・バイデン米大統領は、現地で駐留米軍の通訳などとしてアメリカに協力したアフガニスタン人を空路で退避させることにした。米軍が去った後、米軍と戦った反政府勢力タリバンの報復を受ける恐れがあるためだ。同計画に詳しい2人の人物が本誌に明かした。

計画は「同胞の保護」作戦と名付けられ、米空軍が指揮を執る。米政府機関や米軍に協力した人々には「特別移民ビザ(SIV)」が発給される。アフガニスタンではタリバンが再び攻勢を強めており、米軍の撤退後に報復される恐れのある現地の協力者たちを保護するのか、見捨てるのかが懸案になっていた。

退役軍人組織「コモン・ディフェンス」の政府問題担当官であるナビード・シャーは7月14日、政府関係者とのZoom会議に出席、その中でホワイトハウスのある高官が、アフガン人協力者の国外退避を7月中に開始することを確認したという。「対象者は当初計画の1万8000人を大きく上回るだろう」と語った。

国外退避の第一弾は7月の最終週に予定されており、既に特別移民ビザが認められているアフガニスタン人2500人が対象になる。

退避先の候補は中東か

コモン・ディフェンスをはじめ複数の組織は、要件を満たすアフガン人協力者の国外退避を急ぐべきだと呼びかけており、シャーはバイデン政権がこうした訴えを聞き入れたことを高く評価した。

「これこそまさに、私たちがバイデン政権に求めていたことだ」とシャーは述べた。「協力者の大半を国外に退避させ、最終的には彼らをアメリカに呼び寄せられることを願っている」

国外退避させた後の行き先は、まだ正式に発表されていない。退避作戦について直接知る米国防総省のある高官によれば、退避先に含まれる可能性が高い2つの国は中東の国だが、これらの国の政府が退避者の受け入れを承認しているかどうかは分かっていない。また同高官によれば、「作戦を主導するのは米空軍」で、米海軍と米海兵隊はその「支援」を行うということだ。

バイデンは7月8日の記者会見で、アフガニスタンからの米軍撤退期限を8月31日に早めると発表した。ドナルド・トランプ前政権は2020年にタリバンとの間で、2021年5月に米軍撤退を完了させる内容の和平合意を結んでいたが、バイデンは4月に、撤退期限を9月11日に延期すると発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中