最新記事

中国

中国を礼賛し、民主化運動を妨害する欧米の若者たち「タンキー」が増殖中

Activists vs. Tankies

2021年4月7日(水)16時38分
セバスチャン・スコウ・アンデルセン、トーマス・チャン

香港大学の学生で、人権のデジタル監視活動に従事する民主活動家のソフィー・マクは、彼女の仕事を中国に対する中傷キャンペーンだと批判するタンキーとの戦いに何度も巻き込まれた。

タンキーはしばしば人権を守る活動の足を引っ張るとマクは言う。タンキーは中国の人権侵害に関する最も証拠のそろった主張でさえ非難し、反論する。マクはそれに対処しなければならなかった。

マクが特に怒りを感じるのは、アジアの民主化運動は台頭著しい中国をつぶすためにアメリカが仕掛けた隠密作戦の産物だとする主張だ。

ミャンマー(ビルマ)で軍事クーデターに反対する抗議デモ参加者の一部が英語のスローガンを掲げていたことから、一連のデモはアメリカの差し金だとタンキーは主張している。だがマクは「抗議のスローガンが英語だからという理由で、デモの参加者が自分で書いたものではないと言い張るのはおかしい」と言う。

こうしたタンキーの主張は、普通のビルマ人は英語を書けないという偏見に基づいており、アジアの人たちを見下している。マクは言う。

「よく言って無知、悪く言えば恣意的に事実をゆがめている。彼らは自分の空想の世界に生きている。自分たちのイデオロギーを無責任に述べ立て、他人を傷つけ、人権を侵している。アメリカは世界中のあらゆる問題に手を出しており、政権交代も抗議行動もアメリカ政府が仕組んだものだと、タンキーたちは信じている。そして、それを指摘することで『帝国主義に挑戦』している気になっている」

左翼=親中国にあらず

しかしベイエリア415はマクの指摘を受け入れず、代わりにアメリカ政府が他国の内政への干渉を繰り返してきたのは「明白な事実」だと反論する。アメリカ政府は各地の反政府運動を積極的に支援している、とも。

「抗議デモ参加者がアメリカの国歌を歌ったり、(香港を植民・統治した)英国旗を振ったり、トランプを支持したり、ウクライナのファシスト政権を支持するのを見ると、彼らがそんなことをする理由だけでなく、誰が背後にいるのかと疑問に思わざるを得ない。こうした抗議デモに米国務省が関わっている証拠は至る所に存在する。裏に彼らがいることを示す圧倒的な証拠があるじゃないか」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国務長官、4月2─4日にブリュッセル訪問 NAT

ワールド

トランプ氏「フーシ派攻撃継続」、航行の脅威でなくな

ワールド

日中韓、米関税への共同対応で合意 中国国営メディア

ワールド

米を不公平に扱った国、関税を予期すべき=ホワイトハ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中