「土星の環は、小さな太陽系のようだ」とよくわかるアニメーション発表
土星の環は、小さな太陽系のようだった...... REUTERS/NASA/JPL
<惑星科学者のジェームズ・オドノヒュー博士は、土星の環が土星を周回する様子が表現されたアニメーションを発表した...... >
土星は、太陽から6番目に位置し、木星に次いで大きな惑星である。内側からD環、C環、B環、A環、F環といった環(リング)を持ち、土星を囲むドーナツ状の薄い輪のように見えるのが特徴だ。これらの環は、塵からバスくらいの塊まで、無数の多様な氷の破片や岩でできており、音速の約70倍の速度で土星を周回している。
「土星の環は、小さな太陽系のようだ」
アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センター(GSFC)の元研究員で、現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に在籍する惑星科学者のジェームズ・オドノヒュー博士は、余暇を活用し、物理学や太陽系についてわかりやすく解説したアニメーションを制作している。
動画投稿サイト「ユーチューブ」で2020年6月14日に投稿されたアニメーションでは、土星の環が土星を周回する様子が表現されている。
The orbit(s) of Saturn's rings
この動画によると、土星に近い環の周回速度は速く、土星から離れた環は遅いことがわかる。土星から最も近いD環は秒速23.2キロであるのに対して、外側のF環は秒速16.4キロであった。オドノヒュー博士は「土星に近い環は速く周回しなければ落ちてしまう一方、離れた環はゆっくりと移動できる。これは惑星と同じだ」とし、「土星の環は、小さな太陽系のようだ」とたとえている。
土星の環が高速で移動するにもかかわらず、環からわずか数メートルの近傍の氷は毎分2〜3センチしか移動しない。オドノヒュー博士は「近傍の氷の移動速度は30分に1歩程度なので、劇的な衝突にはならない」と解説している。
Icy ring grains on neighbouring orbital tracks, e.g. separated by a few meters, move at a few cm per minute *relative to eachother*. That speed is like walking 1 step every 30 minutes, or similar to rush hour traffic in <your city's name>... so collisions aren't very dramatic
— Dr. James O'Donoghue (@physicsJ) June 14, 2020
土星の環を広げると、太陽系の惑星がすべておさまるほどの長さ
土星の環は非常に長く、薄い。オドノヒュー博士が図であらわすとおり、これを広げると、太陽系の惑星がすべておさまるほどの長さになる。一方、その質量は、地球大気の3倍にすぎず、月質量のわずか5000分の1だ。
It's true, you can fit all the planets between the Earth and Moon! At the average Earth-Moon separation of 384,000 km shown below you'd have to turn Saturn & Jupiter around to fit (they're wide!). I also took Saturn's rings and unwound them: outer rings at top, inner rings bottom pic.twitter.com/B8qwMz7R9P
— Dr. James O'Donoghue (@physicsJ) May 8, 2020