最新記事

パンデミック

ブラジル、新型コロナ死者40万人突破 米国に続き2番目

2021年4月30日(金)11時32分

ブラジルの新型コロナウイルス感染症による死者数が累計で40万人を突破する見込みとなった。米国に続き世界2番目となる。サンパウロ州の病院のようす。16日撮影(2021年 ロイター/Amanda Perobelli)

ブラジルで29日、新型コロナウイルス感染症による死者数が累計で40万人を突破した。米国に続き世界2番目。専門家はワクチン接種の遅れや制限措置の緩和により、1日当たりの死者数が数カ月にわたって高止まりしかねないと警告している。

保健省によると、死者数はこの日3001人増え、累計で40万1186人となった。

年初からのコロナ感染急拡大で各地の医療施設は逼迫し、1カ月余りの期間に10万人が死亡。ブラジルを起源とする感染力が従来型の2.5倍とされる変異ウイルスが感染拡大を加速させてきた。

1日当たりの死者数は4月上旬に4000人を超えピークを付けた。その後はやや減少しており、多くの地方自治体がロックダウン(都市封鎖)措置を緩和している。

ただ、専門家はワクチンだけではウイルスを抑制することができないため、この緩和によって向こう数カ月間は死者数が増加し続けるだろうと警告。2人専門家は、1日当たりの死者数は今後も平均で2000人を上回ると予想した。

そのうちの1人、コロナに関する全国調査を率いた疫学者ペドロ・ハラル氏は制限緩和により「ブラジルは昨年の過ちを繰り返すことになる」と警鐘を鳴らした。

インドは1日当たり死者数平均で最近、ブラジルを超えたが、累計ではブラジルの方が多い。ブラジルの人口はインドの6分の1しかない。

ブラジルの国立生物医学研究所、オズワルドクルズ財団(FIOCRUZ)の研究員、ディエゴ・ザビエル氏は、1回のワクチン接種を終えた国民はまだ約13%と感染抑制に十分な水準ではないため、行動制限が必要だと指摘した。

また、ワクチン接種が大幅に加速しない限り、1日当たり2000人以上の死者が常態化するだろうと予想した。

エミリオ・リバス感染症研究所のジャマル・スレイマン医師は、死者の40万人突破は「大統領をはじめとする政府の管理能力の欠如が主因だ」と対応の不備を批判した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中