最新記事

ロシア

チェコ、2014年の弾薬庫爆発めぐりロシア外交官18人を追放 ロも対抗措置

2021年4月19日(月)11時06分

チェコ政府は4月17日、2014年に起きた弾薬庫爆発で2人が死亡した事件にロシア情報機関が関与したとして、ロシアの外交官18人に国外退去を命じた。これに対抗してロシアも18日、チェコの外交官20人を国外追放とした。写真はモスクワのチェコ大使館、18日撮影(2021年 ロイター/Shamil Zhumatov)

チェコ政府は17日、2014年に起きた弾薬庫爆発で2人が死亡した事件にロシア情報機関が関与したとして、ロシアの外交官18人に国外退去を命じた。これに対抗してロシアも18日、チェコの外交官20人を国外追放とした。

ロシア軍によるウクライナ国境付近での部隊増強などを受けたロシアと西側諸国の緊張が、いっそう高まる可能性がある。

ロシアはチェコの主張をばかげていると一蹴し「この挑発行為の当事者に、両国間の正常な関係の基礎を壊した責任を十分に理解させる」と表明。

また、外交官追放は「チェコが近年実施してきた一連の反ロシア的行為の継続」とし、「(チェコ政府は)米国による先の対ロシア制裁を受けて米政府に取り入ろうとしている」と非難した。

チェコは、弾薬庫爆発にロシアが関与した疑いについて北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に伝えたとし、19日のEU外相会議でこの件が協議されると明らかにした。

米国務省は「チェコ国内でのロシアの破壊的行為」に対する断固とした対応を支持すると表明した。

チェコ警察によると、弾薬庫爆発の2日前にアレキサンダー・ペトロフとルスラン・ボシロフの名前を使い2人の男がチェコに入国していた。

これは、英ソールズベリーで18年にロシアの元情報機関員セルゲイ・スクリパリ氏と娘が神経剤で襲撃された事件の容疑者が使った偽名と同じという。

チェコのハマーチェク内相兼外相代行は、2人がロシアの情報機関、軍参謀本部情報総局(GRU)のメンバーであることが、ソールズベリーの事件を受けて分かったと説明した。

「危険で悪質」

ラーブ英外相はチェコの発表を受けてツイッターに「危険で悪質な作戦を実施するため、GRUがここまでやることが明らかになった」と投稿した。

NATO当局者も、ロシアの「危険な行為」の一例である「悪質な活動」へのチェコの捜査を支持するとし、「責任を負う者は裁きを受けるべきだ」と述べた。

米政府は15日、ロシアによる昨年の米大統領選への介入やサイバー攻撃など「悪質」な活動に対する報復として、包括的な制裁措置を発動。ロシアも16日、対抗措置を発表した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

豪3月住宅価格は過去最高、4年ぶり利下げ受け=コア

ビジネス

アーム設計のデータセンター用CPU、年末にシェア5

ビジネス

米ブラックロックCEO、保護主義台頭に警鐘 「二極

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中