最新記事

ウォール街

米ヘッジファンドを脅かす個人投資家集団「レディット軍」とは

Robinhood, Reddit App Downloads Surge as Investors Take on Wall Street

2021年2月1日(月)17時04分
ジェイソン・マードック

ネット掲示板レディット(右ロゴ)のウォール・ストリートベッツ(左)に集う個人投資家たちがウォール街を揺さぶり始めた  Dado Ruvic-REUTERS

<ヘッジファンドの空売りに集団で買い向かい、損害を与えたネット掲示板レディットのフォーラムと彼らが使う証券会社ロビンフッドのDL数や利用者数は記録的な数にのぼっている>

米ネット証券ロビンフッドと掲示板型ウエブサイト「レディット」のモバイルアプリのダウンロード数が先週、急増した。レディット上でメッセージを交わし連携したアマチュア投資家が、ロビンフッドのアカウントを通じてヘッジファンドが空売りのターゲットとしていた企業に対して数にモノを言わせた資金で買い向かい、株式市場を大きく揺さぶったのだ。

レディット内の株取引フォーラム「ウォールストリートベッツ」に集う個人投資家の軍団(レディット・アーミー)は、アメリカのヘッジファンドを脅かし続けた。アプリ利用情報(アプリインテリジェンス)を提供するアップトピアが1月28日に発表した統計によれば、個人投資家対ヘッジファンドの標的となったいくつかの企業は、株価急騰という恩恵を受けた。

ビデオゲーム量販店ゲームストップの株価は、1月27日の終値は347.51ドルで、前日から134%上昇した。時代遅れのパッケージゲーム店だけに、マネーゲームの対象になる以前の、昨年12月下旬の株価はたったの18ドルほどだった。

アップトピアの分析によると、1月27日にはロビンフッドとレディットがどちらも1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)とアプリのダウンロード数の記録を更新した。

ロビンフッドはその後、取引制限を行って投資家に批判されたが、そのアプリは米iOSアップストアのランキングのトップに立ち、1日に約12万回ダウンロードされ、これまでの最高記録を更新した。1日あたり利用者数も記録を更新し、約260万人に達した。

株取引アプリの人気急騰

デジタルメディア企業インフォメーションの記者ケイト・クラークによると、ロビンフッドのアプリの月間ダウンロード数は、昨年12月には120万だったが、今年1月は220万に達した。

レディットのアプリは1月27日に、米iOS アップストアのランキング2位になり、ダウンロード数は1日の記録としては最も多い19万9000件にのぼった。

この活気は他のアプリにも及んだ。株取引アプリ「ウィーブル」の1日あたりの利用者数は、過去最高の95万2,000人 に達し、オンライン証券会社TDアメリトレードのアプリも44万4000人を記録した。

アプリに関する分析プラットフォーム「アップアニー」によると、ロビンフッドは29日もiOS アップストアのランキング1位を維持し、ウィーブル、レディット、コインベースが後に続いた。グーグルプレイ・ストアでもロビンフッドがアメリカでは1位、そのあとにズーム、レディット、ウィーブルが続いた。

ロビンフッドは27日、「株価の乱高下」を理由に一部銘柄の取引制限を発表し、28日にグーグルプレイ・ストアに批判が殺到した。ユーザーはロビンフッドが市場を操作しようとしていると非難し、同社は制限を緩和することを約束した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザで戦争犯罪容

ビジネス

米中古住宅販売、10月は3.4%増の396万戸 

ビジネス

貿易分断化、世界経済の生産に「相当な」損失=ECB

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、4
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中