米ヘッジファンドを脅かす個人投資家集団「レディット軍」とは
Robinhood, Reddit App Downloads Surge as Investors Take on Wall Street
ネット掲示板レディット(右ロゴ)のウォール・ストリートベッツ(左)に集う個人投資家たちがウォール街を揺さぶり始めた Dado Ruvic-REUTERS
<ヘッジファンドの空売りに集団で買い向かい、損害を与えたネット掲示板レディットのフォーラムと彼らが使う証券会社ロビンフッドのDL数や利用者数は記録的な数にのぼっている>
米ネット証券ロビンフッドと掲示板型ウエブサイト「レディット」のモバイルアプリのダウンロード数が先週、急増した。レディット上でメッセージを交わし連携したアマチュア投資家が、ロビンフッドのアカウントを通じてヘッジファンドが空売りのターゲットとしていた企業に対して数にモノを言わせた資金で買い向かい、株式市場を大きく揺さぶったのだ。
レディット内の株取引フォーラム「ウォールストリートベッツ」に集う個人投資家の軍団(レディット・アーミー)は、アメリカのヘッジファンドを脅かし続けた。アプリ利用情報(アプリインテリジェンス)を提供するアップトピアが1月28日に発表した統計によれば、個人投資家対ヘッジファンドの標的となったいくつかの企業は、株価急騰という恩恵を受けた。
ビデオゲーム量販店ゲームストップの株価は、1月27日の終値は347.51ドルで、前日から134%上昇した。時代遅れのパッケージゲーム店だけに、マネーゲームの対象になる以前の、昨年12月下旬の株価はたったの18ドルほどだった。
アップトピアの分析によると、1月27日にはロビンフッドとレディットがどちらも1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)とアプリのダウンロード数の記録を更新した。
ロビンフッドはその後、取引制限を行って投資家に批判されたが、そのアプリは米iOSアップストアのランキングのトップに立ち、1日に約12万回ダウンロードされ、これまでの最高記録を更新した。1日あたり利用者数も記録を更新し、約260万人に達した。
株取引アプリの人気急騰
Investing apps have entered the mainstream. #HelloMainStreet pic.twitter.com/Z7YFqYKwfm
— Adam Blacker (@AdamBlacker25) January 28, 2021
デジタルメディア企業インフォメーションの記者ケイト・クラークによると、ロビンフッドのアプリの月間ダウンロード数は、昨年12月には120万だったが、今年1月は220万に達した。
レディットのアプリは1月27日に、米iOS アップストアのランキング2位になり、ダウンロード数は1日の記録としては最も多い19万9000件にのぼった。
この活気は他のアプリにも及んだ。株取引アプリ「ウィーブル」の1日あたりの利用者数は、過去最高の95万2,000人 に達し、オンライン証券会社TDアメリトレードのアプリも44万4000人を記録した。
アプリに関する分析プラットフォーム「アップアニー」によると、ロビンフッドは29日もiOS アップストアのランキング1位を維持し、ウィーブル、レディット、コインベースが後に続いた。グーグルプレイ・ストアでもロビンフッドがアメリカでは1位、そのあとにズーム、レディット、ウィーブルが続いた。
ロビンフッドは27日、「株価の乱高下」を理由に一部銘柄の取引制限を発表し、28日にグーグルプレイ・ストアに批判が殺到した。ユーザーはロビンフッドが市場を操作しようとしていると非難し、同社は制限を緩和することを約束した。