最新記事

アメリカ政治

トランプ、弾劾裁判で「元大統領」の特権を享受できるのか?

2021年1月31日(日)10時55分

2016年、議会共和党は元大統領のための支援予算に制限を設ける法案を可決した。2期目の終わりが近づいていたオバマ氏は、この法案に対し拒否権を行使した。改革の必要性については同意するが、この法案は、元大統領らのオフィスに対して「面倒で不合理な負担」を強いている、というのが理由だった。

連邦議会が「元大統領法」を改革する場合、トランプ氏だけが標的にならないような形で進めるべきだ、とカルト教授は言う。そのような法改正は不当な「私権剥奪法」、つまり特定の個人に不利な立法行為と見なされるからである。

トランプ氏のオフィスの場所は誰が決めるのか

法律では、トランプ氏が自分のオフィスの場所を選べることになっている、とカルト教授は言う。もしトランプ氏が、トランプ・グループ系列の物件内にオフィスを構えるとすれば、納税者は実質的に、トランプ氏が既に所有している不動産の賃料を負担することになる。

オフィスに適切な備品を提供するのは、連邦政府機関である一般調達局になるだろう。

トランプ氏は1月20日、バイデン氏の就任式典の数時間前にワシントンを離れ、フロリダ州パームビーチに所有するリゾート施設「マールアラーゴ」に向かった。

1月25日の声明のなかでトランプ氏は、「元大統領オフィス」の開設を発表した。オフィスは「マールアラーゴ」にある同氏の住居内で、スタッフは敷地内の別のビルで執務する。

機密情報ブリーフィングはどうなるか

民主党内部では、近年、元大統領に提供されている特典の1つをトランプ氏に与えるべきではないとする声が高まっている。すなわち、情報当局によるブリーフィングと、機密情報へのアクセスだ。

下院情報委員会の委員長を務めるアダム・シフ下院議員は1月17日、CBSによるインタビューの中で「トランプ元大統領がまた情報当局によるブリーフィングを受けるべき状況はまったく存在しない」と述べた。「彼に機密情報を託しうるとは考えられない」

他の特典と異なり、これは慣例的なものであって、法による定めはない。ジョー・バイデン大統領は、トランプ氏を情報当局によるブリーフィングの対象から外すことを一方的に決定できる。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は1月22日、記者団に対し、この判断をめぐってバイデン大統領は情報コミュニティの専門家と協議することになる、と語った。

Jan Wolfe(翻訳:エァクレーレン)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 英語で学ぶ国際ニュース超入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年5月6日/13日号(4月30日発売)は「英語で学ぶ 国際ニュース超入門」特集。トランプ2.0/関税大戦争/ウクライナ和平/中国・台湾有事/北朝鮮/韓国新大統領……etc.

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

インドとパキスタン、互いに停戦違反と非難 係争地で

ワールド

アングル:欧州移住に関心強める米国人、「トランプ氏

ビジネス

米中、貿易問題巡る初日協議終了 11日に再開

ワールド

インドとパキスタン、即時の完全停戦で合意 米などが
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中