食品配達員の焼身自殺未遂があぶり出す中国「奴隷労働」の実態
2021年1月20日(水)18時20分
配達業などネット経由の労働の劣悪さは世界共通 TINGSHU WANG-REUTERS
<都市封鎖中には英雄視された配達員だが、劣悪な労働環境にさらされる現実はむしろ「奴隷」に近い>
中国・江蘇省で食品デリバリーに従事する配達員が賃金不払いに抗議して焼身自殺を図った。現地SNSで動画が拡散し、衝撃が広がっている。
自らにガソリンをまき火を付けたのは、ネット通販大手アリババ傘下の食品デリバリー餓了麼(ウーラマ)の配達を請け負っていた48歳の男性。動画では、病院への搬送を拒み「稼いだカネを返せ」と訴えている。現地メディアによると、男性は全身にやけどを負い入院中だ。
事件を受け、ネット経由で単発の仕事を低賃金で請け負うギグ・エコノミーの劣悪な労働環境が改めて問題視されている。ウーラマは昨年12月、勤務中に急死した配達員について、直接の雇用関係にないとして遺族への補償を渋り、問題になったばかり。彼らはウーラマの仕事を派遣会社を通じて請け負っていた。
食品の配達員は昨年、コロナ禍で中国都市部の封鎖中に英雄視されたが、従事者の増加とともに「奴隷労働」の実態が浮き彫りになっている。
<本誌2021年1月26日号掲載>
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