最新記事

米政治

「再選を阻止せよ」浜田宏一・安倍政権元内閣参与がトランプに三行半

PREVENTING “TRUMP 2024”

この4年間、トランプの宣伝は主に彼のメガホン代わりのFOXニュースに委ねられてきた。しかし最近、トランプは選挙報道で十分な忠誠心がないとFOXに怒りをぶつけ、ニュースマックスやワン・アメリカ・ニュースのようなより過激な報道機関と組むようになった。

このようなメディアは、トランプの政界へのカムバックに道を開きかねない。彼は既に2024年に再び大統領選に出馬することを検討しており、娘のイバンカの政治的野心についても臆測が飛び交っている。

しかし、アメリカにおける右派ポピュリズムやナショナリズム、権威主義の衣をまとうのがトランプ一族である必要はない。彼の家族以外からも、この役割を担う人物が現れる可能性があり、その人物はおそらくトランプよりもはるかに巧妙だ。

このリスクを軽減する最善の方法は、アメリカの政治的言説をゆがめている認識のギャップを解消し、アメリカ人をトランプの振りまく虚構から現実に引き戻すことだ。問題はその方法である。

ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズのような伝統ある新聞やCNNのような主要テレビネットワークなど、既存の多くのメディアは事実とデータに基づいたまともなジャーナリズムを提供している。嘘の世界を真の世界に戻す正統な声だが、多くの人々が耳を貸さない。

不毛な「事実」論争をやめる時

トランプは「主流メディア」が過激な「進歩的アジェンダ」を推し進めていると非難する。しかし、そのアプローチは民主主義そのものであり、特に1950年代から60年代にかけての公民権運動以来、アメリカ社会の進歩に大きく貢献してきた。

トランプの言う「主流メディア」の過激な「進歩的アジェンダ」が民主主義に貢献するものだとしても、古い差別的な制度の恩恵を受ける人々は進歩に抵抗する。そして自分たちの立場が合理化され、擁護される「代替現実」を提供する政治指導者やニュースソースを受け入れ、共有するようになる。

これはアメリカ特有の現象ではない。人口の高齢化が急速に進む日本でも、女性の労働参加の増加に明白な利益があるにもかかわらず、男女平等は遅々として進まない。

8年近く前、当時の安倍晋三首相は「アベノミクス」と呼ばれる経済活性化戦略の柱として、女性の活躍を目的とした「ウーマノミクス」政策を打ち出した。しかし社会的な抵抗が大きく、その実現までにはまだ長い道のりが必要である。

【関連記事】無邪気だったアメリカ人はトランプの暴挙を予想できなかった

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「停戦はいつでも可能」、チェコで弾薬

ワールド

ロ大統領、ウクライナ戦争で核使用否定 「論理的終結

ワールド

豪首相、トランプ氏と電話会談 関税やAUKUSで「

ワールド

ルーマニア大統領選、極右候補が決選投票へ 欧州懐疑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 10
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中