韓国・文政権、不動産政策とコロナ対策の失敗で、政権末期の死に体に?
失敗続きの不動産政策
韓国政府は不動産高騰の原因は住宅不足にあり、供給を増やせば価格が安定すると考えた。2019年12月、複数住宅を保有する青瓦台(大統領府)の高官に対し、所有する住宅1軒を除いて他を処分する勧告を出した。住宅供給を増やすため「青瓦台の高位公職者が先頭に立って模範を示す」趣旨だったが、不動産価格は高騰を続け、また、政府高官が複数住宅を所有していることに対する批判が高まり、20年7月、再度、勧告を出し、また複数住宅の所有制限を国会議員や政府機関の局長級以上に拡げて、該当者から不満が出た。
国会議員は地元選挙区とソウルに住宅を保有している人が多く、公務員も2012年の政府機能移転でソウルに家族を残して移転先でも住宅を購入し、複数所有者となった人が少なくなかった。
2020年11月、政府は新型コロナウイルスの拡散で打撃を受けたホテルや雑居ビルなどを買い取って賃貸住宅に改造し、供給する対策を打ち出した。しかし、ホテルや雑居ビルは、生活インフラが整っていない商業地に集中する。面積が狭く壁が薄いホテルの部屋で暮らせるのかと批判する声が上がり、ホテル乞食を意味する「ホゴ」という新語が登場した。
韓国政府はまた、空き家となっている小型集合住宅を買い取って賃貸住宅として供給すると発表したが、職場から遠く教育環境が悪いなどの理由から空き家となっている物件が多く、住宅不足の解消には役立たないという声が広がった。
支持率急落、政権末期のレームダックが本格化?
11月23日、与党・共に民主党の陳善美(チン・ソンミ)議員が韓国土地住宅公社の公共賃貸住宅を視察して「自分の家と違いはない。マンションに住む幻想を捨てるべきだ」と発言して政府の住宅対策を擁護したが、議員自身はソウル中心部の新築高級マンションに居住している。フランス革命の頃、「パンがなければ、ブリオッシュを食べればよい」と話したという逸話があるマリー・アントワネットになぞらえ、「マリー・チントゥワネット」と揶揄された。
12月17日、文在寅大統領は、京畿道華城市にある公共賃貸住宅を視察した。1時間の視察のために、内装工事や家具レンタル代など、4億5000万ウォン(約4300万円)を支出し、数日間に渡って突貫工事が進められたことが明らかになり、「庶民の現実を直視しない大統領のためのショー」と批判する声が上がった。
12月28日に韓国世論調査会社リアルメーターが発表した文大統領の支持率は36.7%、不支持率は就任以来最高の59.7%となった。与党政治家の相次ぐ不祥事や新型コロナウイルス対策の失敗など、政権末期のレームダック、死に体が本格化するという分析が出ている。