トランプは退任前の駆け込み恩赦で自分と家族を救えるか
2020年12月8日(火)19時00分
トランプにとっての問題は、ニクソンと自らの違いにあるのかもしれない。包括的恩赦によってニクソンの過去の違法行為に対する連邦捜査が実質的に封じられたのは、ニクソンがあくまでも職業政治家だったからだ。ニクソンは、巨大なビジネス帝国を所有してなどいなかった。しかも、恩赦の時点で、ニクソンの違法行為の概略は既に明るみに出ていた。
ニクソンと異なり、トランプの誇りと喜びの源はビジネス活動にある。トランプは、ビジネスを通じて莫大な富を獲得し、自らの有能さをアピールしてきた。今後もビジネスを心の支えにし、全米規模の影響力を維持し続けたいと考えている。それに、トランプが違法行為に手を染めてきたとすれば、その全容はまだ明るみに出ていない。
政権末期の駆け込み恩赦が持つ効果は、それほど大きくないのかもしれない。
©2020 The Slate Group
<本誌2020年12月15日号掲載>
2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る
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