最新記事

アメリカ政治

トランプ、大統領選後初の集会 不正の主張繰り返す

2020年12月7日(月)09時41分

 12月5日、トランプ米大統領は南部ジョージア州で大統領選後初めての支持者集会を開いた(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ米大統領は5日、南部ジョージア州で大統領選後初めての支持者集会を開いた。来年1月5日に行われる上院選決選投票に向けて共和党候補への支持を訴えたが、大統領選で不正があったとの根拠のない主張にも多くの時間を割いた。

トランプ氏は「(民主党は)大統領選で不正操作をしたが、それでもわれわれは勝利する」と述べ、「この選挙(上院選決選投票)でも(民主党は)不正操作を試みるだろう」と主張した。支持者は「あと4年」と歓声を上げた。

トランプ氏は自身の主張を支持しない共和党関係者への批判も繰り返した。大統領はこの日の集会に先立ち、ジョージア州のケンプ知事(共和党)に電話やツイッター上で選挙結果を覆す試みを支援するよう圧力をかけた。

ツイッターに「ジョージア州のケンプ知事か州務長官が署名検証を許可すれば、私がすぐ容易に勝利する。この『共和党員』2人はなぜ拒んでいるんだ」と投稿した。

ケンプ氏が「署名検証は3回公に求めた」と反論すると、トランプ氏はそれでは不十分とし、ケンプ氏に臨時議会の即時招集を要求した。

トランプ氏のチームは、民主党のバイデン次期大統領が勝利し、共和党が多数派を握る激戦州の議会に対し、選挙結果に反してトランプ氏を勝者と宣言するよう呼びかける異例の策に出たが、今のところ成功していない。

バイデン氏は今回の大統領選で選挙人306人を獲得し、232人を獲得したトランプ氏に勝利した。選挙人による12月14日の投票を経て選挙結果は公式となる。

トランプ氏は5日の集会で、選挙結果を巡る訴訟は「間もなく」連邦最高裁に持ち込まれると発言したが、詳細には触れなかった。「(州)議会や米最高裁が進み出てこの国を救うことを願う」と述べた。

ジョージア州の上院選決選投票では、共和党現職のデービッド・パーデュー上院議員とケリー・ロフラー上院議員が民主党のジョン・オソフ氏とラファエル・ワーノック氏が議席を争う。ジョージア州では過去20年間、民主党上院議員は選出されていない。

同州の決選投票の結果次第で共和、民主のどちらが上院をコントロールするかが決まる。民主党が主導権を握るためには2議席を獲得する必要がある。共和党は1議席でも獲得すれば多数派を維持し、民主党のバイデン次期大統領の政策を阻止することが可能になる。

バイデン氏も民主党候補の応援のためジョージア州入りする意向を示しているが、日程は明らかにしていない。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・【調査報道】中国の「米大統領選」工作活動を暴く
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中