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攻撃的な自分の上司が、ネット炎上の参加者かもしれないこれだけの理由

2020年10月23日(金)11時25分
印南敦史(作家、書評家)

たとえ役職付きで忙しくても、同居している家族がいても

そこまで言い切るのは、著者が実際にデータ分析を行ったからである。2014年に20〜69歳の男女約2万人、2016年に同じく20〜69歳の男女約4万人を対象としたアンケート調査のデータを使ったそうだ。

当時既に頻発していた「ネット炎上」についてどのような行動を取ったかを調査し、炎上参加行動に関する数学的なモデルを構築して、「どのような特徴を持っていると炎上に加担しやすいのか」を分析したのである。

なお、ここでいう「炎上に参加した」とは、「過去に1度でも炎上した事例について、ネット上で書き込んだことがある人」を意味する。


 その結果、2回とも意外な結果を示した。なんと、「男性」「年収が高い」「主任・係長クラス以上」といった属性であると、炎上に参加しやすい傾向にあるという結果になったのだ。(119〜120ページより)

暇を持て余しているどころか、社会的に相応のステイタスを持ち、日々忙しく働いている人たちということになる。確かに意外だが、こうした結果が出たことを、著者は次のように解釈している。


 冷静になって考えてみれば、「極端な人」としてネットに書き込みをするのに、何も大量の時間は必要ないことに気付くだろう。たとえ役職付きで忙しくしていても、同居している家族がいても、仕事の休憩時間や家に帰ってからの自由時間の間に、今日1日何があったかネット上で情報収集し、書き込むのは容易い。書き込むことに集中すれば、2時間もあれば数百件は書き込めてしまうだろう。
 ネットはそれほど、我々が情報を収集して発信をするという行為のハードルを下げたのだ。結局のところ、誰でも「極端な人」になれてしまう。それが今の情報社会の現実なのである。(123〜124ページより)

しかも、それはネットだけに限った話ではなく、クレーマーなども同じような位置にいると言える。

例えば、いつも攻撃的で部下を否定してばかりいるような上司、そういった人が「極端な人」であり、ネットでも暴れている人だというのだ。もちろん全員がそうであるわけではないが、傾向としてはあるのかもしれない。

だが、そう考えていくと、ひとつの考えに行き着く。他人事のように思えるが、実は自分が「極端な人」になってしまう危険性もあるということだ。だとすれば、そうならないように気をつけなければいけない。そのためには、次の5箇条が効果的であると著者は言う。

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