最新記事

感染症対策

大統領を救え! トランプのコロナ治療計画、「抗体カクテル」を使用

2020年10月3日(土)20時15分

新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領がワシントン郊外のウォルター・リード米軍医療センターに入院した。ホワイトハウスによると、トランプ氏は開発中の抗体カクテル医薬品などを使った治療を受けるという。写真は病院へ向かう大統領専用ヘリコプターまで歩くトランプ氏。10月2日、ホワイトハウスで撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

新型コロナウイルスに感染したトランプ大統領が2日、ワシントン郊外のウォルター・リード米軍医療センターに入院した。ホワイトハウスによると、トランプ氏は開発中の抗体カクテル医薬品などを使った治療を受けるという。

トランプ氏は微熱があると、関係者は話す。専門家によると、トランプ氏が男性であること、74歳と高齢であること、さらに体重を考慮すると症状が悪化するリスクがあり、理論上の死亡確率は4%程度だという。

トランプ氏の治療に関する情報を以下にまとめた。

治療に使われる医薬品は

トランプ氏の治療には、リジェネロンが開発中の抗体カクテル医薬品「REGN-COV2」を使う。

投与した抗体にウイルスを攻撃させる技術はすでにさまざまな病気の治療に利用されている。新型コロナウイルスに対する抗体に関するデータは限られているが、米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長などが有望との見方を示している。

「REGN-COV2」は臨床試験で、入院していない比較的症状の軽い患者に改善がみられ、深刻な副作用もないという結果がでている。

軽度の患者向けで承認済みの治療法はあるか

セダース・サイナイ・メディカル・センター(ロサンゼルス)の病院疫学ディレクターのジョナサン・グレイン博士によると、軽度な患者に効果的な治療は現時点で確立されておらず、対症療法や緩和ケアになるという。グレイン博士はトランプ氏の治療には関与していない。

ホワイトハウスのショーン・コンリー専属医によると、トランプ氏は以下のような薬も服用している。

ビタミンD・亜鉛:免疫システムにとって重要な要素で免疫力アップを目的に摂取する人もいる。

ファモチジン:胸やけの薬。新型コロナウイルス感染症への効果はまだ証明されていないが、治療薬候補として研究されている。

メラトニン:睡眠を促す効果がある。

アスピリン:トランプ氏は以前、日常的に服用していると言っている。解熱作用があり、心筋梗塞の治療にも使われる。

症状が悪化した場合は

グレイン博士は「症状が数週間続くことは珍しくない。2週目になって悪化するケースもある」と話す。

米食品医薬品局(FDA)は新型コロナ入院患者に対し、ギリアド・サイエンシズの抗ウイルス薬「レムデシビル」と、コロナに感染し回復した人の血しょうを使った回復期血しよう療法の緊急使用を認めている。

病院ではステロイド薬「デキサメタゾン」を使用することも多い。

「デキサメタゾン」は酸素吸入が必要な重症患者の症状を改善させたと報告されている。ただ、米国感染症学会(IDSA)のガイドラインは、ステロイド薬は免疫力を抑制する可能性があるため、軽度の患者には使用すべきでないとしている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国副首相が米財務長官と会談、対中関税に懸念 対話

ビジネス

アングル:債券市場に安心感、QT減速観測と財務長官

ビジネス

米中古住宅販売、1月は4.9%減の408万戸 4カ

ワールド

米・ウクライナ、鉱物協定巡り協議継続か 米高官は署
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中