LGBTQを拷問と性的虐待で痛めつけるエジプト警察
Egyptian Police Using Social Media to Trap and Rape Suspected LGBTQ People
また、27歳のトランスジェンダー、ホッサム・アフメドは、女性向けの拘置所に入れられて、ノミや虫、シラミだらけでカビが生えたマットレレスで眠るよう強制され、食べるものや医薬品も与えられなかったと証言している。28歳の女性、アヤ(仮名)は、45人の女性たちと共に6平方メートルほどの狭い監房に押し込められ、警察から強制的に肛門および膣の検査を受けさせられたという。検査の苦痛はすさまじく、アヤは「3日間にわたり出血が止まらず、何週間も歩くことができなかった」と述べている。37歳でHIV(ヒト免疫不全ウイルス)陽性の男性、アラー(仮名)は、治療薬を飲むことを阻止されただけでなく、医療障害者カードを提示したところ、カードを肛門に挿入されたと訴えている。
身柄を拘束された人々の多くは、逮捕後に家族から縁を切られている。科された容疑の内容ゆえに、こうした人たちは、仕事を見つけて、エジプトを離れるのに十分な額のカネを稼ぐのも難しい。地元の街から出ることができないため、今後も警察からの嫌がらせや暴力にさらされる可能性が高い。
HRWの報告書の内容が事実であれば、これらの行為はエジプトの憲法に違反している。同国の憲法は、逮捕された者に対し、黙秘権のほか、取り調べ期間に弁護士や家族と面会する権利、自らに科された容疑を逮捕から12時間後までに知る権利を保障している。また虐待や脅迫、強制、「身体的・精神的虐待」を禁止し、こうした状況下で引き出された自白を使用することも禁じている。
始まりは2017年の夏
これらの行為は、エジプトが同意している複数の国際人権条約にも違反しているとHRWは指摘している。こうした条約の例としては、「市民的および政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」、「拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約(拷問等禁止条約、CAT)」、「人及び人民の権利に関するアフリカ憲章(バンジュール憲章)」などが挙げられる。
エジプトに住むLGBTQの人々に対する弾圧が激しくなったのは、2017年9月に端を発する。この月に開催された音楽イベントで、(LGBTQの人々への連帯を示す)レインボーフラッグを振った複数の若者を、警察は逮捕した。この時逮捕されたLGBTQ活動家の1人、サラ・ヘガジさんは獄中で拷問を受け、亡命先のカナダで今年7月、30歳で命を絶っている。
(翻訳:ガリレオ)
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