アゼルバイジャンとアルメニアの軍事衝突はなぜ一大事か
Why You Should Care About the Escalating Nagorno-Karabakh Conflict
トルコとアルメニアは歴史的な緊張をはらむ関係にある。その原因は、トルコ政府が今も否定している第一次世界大戦時代のアルメニア人虐殺だ。トルコの前身にあたるオスマン帝国によって1915年から1923年の間に、150万人ものアルメニア人が殺された、とアルメニア人は主張する。
トルコは死者数を数十万人としており、その原因は組織的な大量虐殺ではなく政府軍と戦った結果だと主張している。とはいえ、この時期に、膨大な数のアルメニア人がシリアの砂漠などに強制的に移住させられ、多くがその途中で死亡するという事件も発生した。
アルメニアは、外部の侵略から同盟国を保護するロシア主導の集団安全保障条約機構に参加している。ロシア政府はこれまでのところ、この紛争に関して停戦と交渉を促しているが、同盟国のアルメニアを支援するために引き込まれる可能性はある。ロシアはアルメニア国内に軍事基地を持ち、アルメニア軍に武器を提供している。
ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ロシア政府は状況を注意深く追跡しているが、外交的解決を呼び掛けていると述べた。ロシアとトルコの外相は戦闘が勃発した直後に電話で話し、ロシアの国営タス通信によると、停戦と対話の重要性も強調したという。
イスラエルも注視
ロシアとトルコはすでに、シリアとリビアの内戦で対立する立場を取っており、アゼルバイジャンとアルメニアが本格的な紛争に巻き込まれれば、コーカサス地方で新たな代理戦争が起きる可能性も排除できない。
それでも、ロシア政府はアゼルバイジャンとも良好な関係を維持しており、フランスやアメリカと並び欧州安全保障協力機構(OSCE)ミンスクグループの一員でもある。ミンスクググループは、ナゴルノ・カラバフを巡るアゼルバイジャンとアルメニアの紛争を平和的に解決するために1992年に設立された。
だが和平プロセスを仲介するミンスクグループの取り組みは、2010年に崩壊した。ドナルド・トランプ大統領は27日、アメリカはこの紛争を監視しており、戦闘拡大を避ける努力をすると述べた。
イスラエルもナゴルノ・カラバフの状況を注視している。近年イスラエルはアゼルバイジャンへの武器販売を拡大しており、「自爆ドローン」も提供している。これは爆発物を詰めた無人機で、何時間でも戦場を徘徊し、標的に衝突して自爆する。このタイプの無人機は、2016年にアルメニアのバスを破壊し、兵士7人が死亡した。