最新記事

生態系

【動画】タランチュラが鳥を頭から食べる衝撃映像とメカニズム

Tarantula Filmed Eating Bird in Horrifying Video

2020年9月10日(木)14時05分
ハナ・オズボーン

毒牙で目を刺す訳は K-Kucharska_D-Kucharski-iStock

<自分よりもはるかに体の大きな鳥を頭から食べる禍々しいクモ>

ソーシャルニュースサイトのレディットに、クモが鳥を食べる様子を捉えた動画が投稿された。約1分の動画には、タランチュラが自分より大きい鳥(イエミソサザイ)を食べるおぞましい様子が映っている。

投稿者は、このクモを「ルブロンオオツチグモ」だと思っていたようだ。ルブロンオオツチグモ(別名ゴライアスバードイーター)は、全長およそ30センチ、体重が最大170グラム程度と世界で最も重量級のクモだ。だがレディットのほかのユーザーたちから、動画に映っているのはタランチュラの一種だと指摘する声があがった。

フンボルト博物館(ドイツ最大の自然史博物館)でクモ形節足動物の研究を行っているジェイソン・ダンロップは本誌に対して、問題の動画に映っているのはピンクトゥータランチュラ、「あるいは少なくともそれにきわめて近い種」だと思われると語った。

スミソニアン国立動物園と保全生物学研究所によれば、ピンクトゥータランチュラは森の中に生息している。メスは全長およそ12センチ、オスは全長およそ9センチとメスよりもやや小さい。

消化液を注入して溶かして食べる

ピンクトゥータランチュラは、体が黒くて毛が多く、脚先がほんのりピンク色なのが特徴だ。口の近くに4本の付属肢があり、このうち2本に毒牙がある。残りの2本は爪と触覚の役割を果たしている。南米北部の熱帯雨林に生息し、積極的に餌を求める捕食者で、一般にはトカゲやカエル、ネズミのような小型脊椎動物を捕まえて食べている。

ダンロップは、タランチュラは一般に鳥を食べることはないが、例がない訳ではないと語った。彼は投稿映像に映ったタランチュラについて「飲み込めるものなら何でも食べただろう」と指摘した上で、こう続けた。「消化液を逆流させて獲物に注入し、液状に溶かして飲み込み、骨や羽など残った部分を捨てる。それがタランチュラのやり方だ」

タランチュラが鳥を食べるという考え方が知られるようになったきっかけは、ドイツ人の自然科学者マリア・シビーラ・メーリアンの版画だった。彼女が1705年に出版した『スリナム産昆虫変態図譜』の中に、ピンクトゥータランチュラがルビートパーズハチドリを食べる様子を描いた版画が含まれていたのだ。

【関連記事】ナメクジを食べた男性、脳を侵す寄生虫で8年後に死亡
【関連記事】ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家、9時〜23時勤務を当然と語り批判殺到
  • 4
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 8
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 9
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 10
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中