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日本政治ポスト安倍 菅義偉官房長官、観光と地方経済重視 「携帯値下げ」が看板政策
自民党総裁選への出馬を正式表明する見通しの菅義偉官房長官(写真)は、新型コロナウイルスを巡って、一貫して感染拡大の防止と経済回復の両立を目指す姿勢を示してきた。写真は都内で8月撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)
2日に自民党総裁選への出馬を正式表明する見通しの菅義偉官房長官は、新型コロナウイルスを巡って、一貫して感染拡大の防止と経済回復の両立を目指す姿勢を示してきた。自身が主導した「GoToキャンペーン」の成果を強調しており、コロナ禍で傷ついた地方経済を観光で復活させたいという思いがにじむ。
総務相だった菅氏の看板政策の1つは、携帯電話料金の見直し。ここ2年間、携帯キャリア各社に強く値下げを迫っている。消費税の減免には反対の立場だ。
米中対立が先鋭化する中、外交・安全保障は日米同盟を重視。香港問題では中国に厳しい発言をしている。
◎コロナ対策と地方再生
総裁選で各候補が真っ先に問われるのが、新型コロナ対策。菅官房長官はかねてから「感染リスクをコントロールしながら、経済社会活動のレベルを段階的に引き上げる」と語っている。
政権をずっと支えてきた菅氏は、検査を拡充するとともに医療体制のひっ迫を防ぐために感染症の類型を見直すなど、安倍首相が辞任表明時にまとめた対策パッケージを引き継ぐ可能性が濃厚だ。
同時に経済回復も最優先に掲げ、とりわけ旅行・観光産業を後押しして疲弊する地方経済を支える政策を打ち出すとみられる。地方再生は菅氏の重点政策だ。これまでもふるさと納税の導入や、農林水産業の改革で実績を残してきている。
菅氏は8月26日のロイターとのインタビューで、再度の緊急事態宣言は避けたい意向を示した上で、「現在も飲食、宿泊などサービス業を中心に厳しい状況が続いている。政府としては、事業を継続させて雇用を守ることを最優先に考えている」と述べている。
◎アベノミクスほぼ踏襲か
経済政策も、日銀との協調を強めた安倍政権の政策から大きな変更はなさそうだ。菅氏は「日銀とは早め早めに連携している」と発言。「財務省と金融庁、日銀による情報交換会合についても、日本が何を考えているのか、分かりやすいメッセージを出せるという意味で有効だ」としている。
総裁選の焦点の1つである消費税については、社会保障のために必要な財源だとし、減免に消極的な姿勢を示している。
◎携帯料金さらに引き下げ
第1次安倍内閣で総務相だった菅氏は、携帯電話料金の引き下げに力を注いできた。2018年に「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」と表明して以来、携帯キャリア各社は値下げ圧力に直面している。菅氏は各社の利益率がなお高止まりしていることに言及しており、さらなる値下げを求める見通しだ。
手数料の高さが指摘される携帯キャリアの変更については、ウェブサイトを通じて番号持ち運び制度(MNP)を無料で申請できるようする考えだ。
◎中国の軍事力に強い警戒
菅氏は米国との同盟関係を重視。安倍政権のもとで関係改善の兆しが見えてきた中国に対しては、香港や尖閣諸島(中国名:釣魚島)の問題を巡って厳しい姿勢で臨んでいる。
2日の閣議後会見では「中国の国防政策や軍事力の動向は極めて重大な関心事項」だと述べ、「東アジアの安全保障に直結する。望ましい安全保障環境を確保し、この地域の透明性を含む軍備管理の在り方をしっかり議論し、米国とも緊密に連携していきたい」とした。
香港が国家安全維持法を制定したことについては、「1国2制度に対する信頼を損なう」と批判している。習近平国家主席が今春訪日するタイミングだったが、菅氏は「国賓としての来日の具体的な日程調整をする段階にはない」と語っている。
自民党内と国家保障局内で意見の集約が進んでいる新たな安全保障政策については、憲法9条を逸脱する考えがないことを強調している。菅氏は「現行憲法の範囲内で専守防衛を前提にしっかり、自民党提言などの考え方を踏まえて政府内で引き続きしっかり議論していく必要がある」と述べている。
(中川泉 編集:久保信博)
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