長引くNYオフィス不況 コロナショックは不動産投資も直撃
コリアーズによると、8月の賃貸案件は昨年の月間平均358万平方フィートに比べ、約64%減った。
INGの商業不動産部門責任者、クレイグ・ベンダー氏は「テナントの多くが短期賃貸契約の延長を求め、長期契約にしりごみしているのはまったく驚きではない」と語った。「新型コロナ沈静化の道筋がはっきりしてくるまで、今の状態は変わらないだろう」
テレワークは主役にはならない
不況はニューヨークのオフィス市場だけの話ではない。これは米東海岸と西海岸のオフィスビルに投資する不動産投資信託(REIT)の価格でも見て取ることができる。
米株式市場は3月に売り込まれた水準から55%余りも急上昇しているが、オフィスREITの価格は基本的に横ばいのままだ。新型コロナが米景気後退を誘発するとの懸念から投資家が幅広い株式を投げ売りした2月半ばに比べると、東海岸と西海岸の主要都市に投資するオフィスREITの時価総額は約半値だ。
センタースクエア・インベストメント・マネジメントのスコット・クロー最高投資責任者によると、企業が自社のオフィススペースに想定する価値は以前よりも下がっている。
ただ、コリア-ズのコーエン氏は他の商業不動産関係の経営者と同様、テレワークが今後も優勢になることには懐疑的だ。人々は社内での出世を考えるときは、上司のそばにいたがるだろうという理由だ。「テレワークが永劫に続くとの考え方には賛成しない。社内であれ社外であれ、競争原理がわれわれをオフィスに引き戻すだろうからだ」という。
もっともセンタースクエアのクロー氏は、オフィス部門が流動的であり、REIT市場の価格動向が「まるでさびれたショッピングモールの予備軍」のようだと認める。「たぶんニューヨークは今、米不動産市場で最もひどいうちの一つだ」と話した。
(Herbert Lash記者)
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