最新記事

中国

中国から米国に「謎の種」が送りつけられている......当局は「植えないで」と呼びかけ

2020年7月29日(水)12時30分
松丸さとみ

カリーさんは不思議に思いフェイスブックに投稿してみたところ、少なくとも40人から、「自分も同じものが届いた」と連絡があった。カリーさんは自分でもいろいろ調べてみたところ、英国でも同様に種が送り付けられたという話を見つけ、侵略的な外来植物だったようだとFOX13に話した。

ユタ州を始め、米国の多くの州では生態系や環境を守るために、種の輸入は規制されている。

英国の大手タブロイド紙デイリーメールは、英国でのケースを報じている。内容物として「ピアス」や「花弁」などと書かれた袋が届き、開けてみると注文してもいない種だったという。英国でも種の輸入は規制されているため、検疫をすり抜けるためにこのような内容物か書かれていたと考えられている。

ガーデニング愛好家のウェスターデールさんは、新型コロナウイルス感染症による外出禁止令の影響で、庭で野菜を育てるようになった人が多いと、デイリーメールに話した。この女性は、ロックダウンで店が閉まっていたこともあり、どこで種を買っていいか分からず、アマゾンのマーケットプレイスやeBayなどのネット店舗で購入。これらは英国内の店だったが、その後に注文していない種が中国やセルビアから届いたという。カリーさん同様、不審に思ったウェスターデールさんは、この話をフェイスブックに投稿したところ、同じ経験をしたという何百人もの人から連絡があったようだ。

ブラッシング詐欺の可能性も?

オハイオ州にあるホワイトハウス警察署は、これが「ブラッシング詐欺」ではないかと考えているようだ。同署は、情報がほとんどない状態であるとしながらも、「できる限り早急にみなさんに警告を発したかった」として、中国から届く謎の種についてフェイスブックのページに投稿した

同署が種について調査したところ、「ブラッシング」として知られる詐欺と関係している可能性が高いことが判ったという。「ブラッシング詐欺」とはオンライン詐欺の一種で、コストのかからない自社商品を勝手に送り付け、あたかもその人が書いたかのようにその人の名前を使ってネット上に良いレビューを書きこむというものだ。

同署は、種を受け取った人に直接的な危険はないとしているが、種をきちんと処分するために、受け取った人はすぐに連絡するよう呼びかけている。同署はまた、同様の郵便物が全米のあらゆる場所に送られていることが分かったが、なぜ米国でこのような現象が起きているかは不明だとしている。

FOX13によると、商業改善協会ユタ支部のジェイン・ラップ代表も、「ブラッシング詐欺」だと考えているという。同氏は、「種を使った話は聞いたことがない」としながらも、「まずは自分の住所をグーグルで調べてみた方がいいと思う。自分の住所をググってみるといろいろなことが出てきて、怖くなるときもある」とアドバイスしている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アクティビスト、世界で動きが活発化 第1四半期は米

ワールド

フィンランドも対人地雷禁止条約離脱へ、ロシアの脅威

ワールド

米USTR、インドの貿易障壁に懸念 輸入要件「煩雑

ワールド

米議会上院の調査小委員会、メタの中国市場参入問題を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中