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感染症対策米バイオ医療モデルナのコロナワクチン、サルの試験で効果的な免疫反応
米バイオ医薬品大手モデルナは、開発中の新型コロナウイルスワクチンがサルを使った試験で強力な免疫反応を引き起こしたと発表した。写真は5月、マサチューセッツ州ケンブリッジにある同社の本社前で撮影(2020年 ロイター/Brian Snyder)
米バイオ医薬品大手モデルナは28日、開発中の新型コロナウイルスワクチンがサルを使った試験で強力な免疫反応を引き起こしたと発表した。試験結果は、医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)で公表された。
このワクチン候補「MRNA-23」をヒト以外の霊長類に接種したところ、肺と鼻腔内の感染を防ぎ、実験したすべての霊長類で肺疾患の発症を阻止する効果が示された。
モデルナは28日、健康なボランティア3万人を対象としてこのワクチン候補の後期臨床試験を開始した。好ましい結果が得られれば、年内にも規制当局の承認獲得と幅広い利用への道が開かれる可能性がある。
サルを対象とする試験では、2種類の接種量を試し、両方とも肺でのウイルス複製と炎症を阻止し、多い方の接種量では鼻腔でのウイルス複製も防いだ。
英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同で開発しているワクチン候補も、類似の動物試験で肺への損傷を防ぎ、ウイルスの複製を防ぐ効果が示されたが、鼻腔ではウイルス複製が確認された。
モデルナはこれまでワクチンを商用化したことはないが、米政府からワクチン候補の実用化に向け10億ドル近くの支援を受けている。トランプ政権はワクチン開発促進策「ワープ・スピード作戦」の下で、複数のワクチン開発に資金援助を行っている。
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