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3万人死亡のイタリアが欧州で真っ先に国境開放した切実な理由

2020年6月8日(月)15時10分
キャサリン・ファン

夏の旅行シーズンを前に自由な移動が可能に GUGLIELMO MANGIAPANE-REUTERS

<国境封鎖を解除し、主要3都市の空港では国際便の発着が再開。14日間の隔離制限も撤廃された。慎重な周辺諸国と比べ、時期尚早との批判もあるが...>

新型コロナウイルスの大流行によって3万人以上の死者が出ているイタリアが、早くも経済活動の再開に本腰を入れ始めた。

5月18日の商店・飲食店の営業再開に続き、6月3日にはコロナ危機下の欧州で初めて国境封鎖を完全に解除。ローマ、ミラノなど主要3都市の空港で国際便の発着が可能になり、欧州からの入国者については14日間の隔離制限も撤廃された。また、国内の移動制限や高速鉄道の運行停止も併せて解除された。

国境開放に慎重な姿勢を取る他の欧州諸国と比べると、こうしたイタリアの判断は時期尚早との批判もある。例えばドイツやフランス、オーストリアは渡航制限の解除を6月15日に設定している。

イタリアが制限解除を急ぐのは、観光業界にとって書き入れ時である夏の旅行シーズンが目前に迫っているため。コロナ禍の影響で、イタリアの観光業界の今年1~3月の収益は昨年同時期より73%も減少している。

<2020年6月16日号掲載>

【参考記事】イタリア首相「夏にはすてきな休暇が待っている」
【参考記事】コロナショックで孤立無援のイタリアが恨み節──加速する反EU感情の行く先

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