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朝鮮半島北朝鮮、韓国とのホットライン9日正午に切断へ
北朝鮮は、南北間の連絡手段の完全な遮断に向けた第一歩として、韓国とのホットライン(直通電話回線)を切断すると発表した。朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。写真は金正恩朝鮮労働党委員長、提供写真(2020年 ロイター)
北朝鮮は9日、南北間の連絡手段の完全な遮断に向けた第一歩として、韓国とのホットライン(直通電話回線)を切断すると発表した。朝鮮中央通信(KCNA)が伝えた。
北朝鮮はここ数日、韓国の脱北者団体が北朝鮮の体制を批判するビラを散布している問題を巡り、韓国の対応を批判し、南北連絡事務所や他の事業の廃止を予告するなどしている。
KCNAは、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長や金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長ら北朝鮮政府高官が「南(韓国)に関する取り組みは、敵に対するものに完全に転換すべき」という決定を下したと報道。
その第一歩として、北朝鮮は南北連絡事務所の連絡手段と、双方の軍および首脳間のホットラインなどを9日正午に切断すると伝えた。
さらに、北朝鮮人民は「不誠実で狡猾(こうかつ)な韓国当局者の行動に憤りを感じている」とし、脱北者が北朝鮮の最高指導者を侮辱するのを韓国当局者は無責任に容認したと非難。「これは全ての北朝鮮人民に対する敵意の表れだ」とし、「韓国当局者はわれわれを失望させるばかりであり、彼らと対座する必要はなく、彼らと話し合う問題はないという結論に至った」と報じた。
韓国の聯合ニュースによると、韓国政府は9日午前に連絡事務所の北朝鮮側担当者への定時連絡や軍同士のホットラインでの連絡を試みたが、北朝鮮側は電話に出なかった。
8日午前に連絡事務所の北朝鮮側担当者は、2018年以来初めて定時連絡の電話に出なかった。ただ、午後の連絡には応じた。
韓国統一省はホットラインについて、基本的な連絡手段で維持する必要があるとした上で、今後も合意した原則に従って朝鮮半島の平和と安定を目指すとの見解を示した。
交渉の材料との見方
アナリストらは、北朝鮮の動きは脱北者の問題だけが原因ではないようだと指摘する。新型コロナウイルスの世界的流行や国際社会による制裁で、北朝鮮は経済が一段と圧迫されている。
韓国の慶煕大学の朱宰佑(チュ・ジェウ)教授は「北朝鮮はわれわれが考えているよりも悲惨な状態にある」と分析。「韓国から何かを絞り出そうとしているようだ」とした。
米国を拠点とする全米北朝鮮委員会(NCNK)のダニエル・ワーツ氏は「定期的な連絡手段が最も必要とされるのは危機の際だ。そのため、北朝鮮は連絡手段を断ち切ることでリスクの高まった状況を作り出そうとしている」と指摘。「北朝鮮がよく使う駆け引きだとはいえ、危険なものだ」と語った。
*内容を追加しました。
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