最新記事

香港

中国高官「香港の振る舞いが2047年以降の自治度合い決める」

2020年6月9日(火)11時14分

中国政府の高官は、英国から香港が返還された際に結んだ、香港の高度な自治を50年間維持するとの約束が2047年に失効した後にどの程度の自治を認めるかは、それまでの期間における香港の振る舞いによって決まるとの認識を示唆した。写真は香港で1月撮影(2020年 ロイター/Tyrone Siu)

中国政府の高官は8日、英国から香港が返還された際に結んだ、香港の高度な自治を50年間維持するとの約束が2047年に失効した後にどの程度の自治を認めるかは、それまでの期間における香港の振る舞いによって決まるとの認識を示唆した。

香港は1997年の英国からの返還後に適用された一国二制度の下で、中国本土とは異なる権利や自由を少なくとも50年間保障された。ただ、香港の市民の多くは高度な自治や国際貿易・金融センターとしての地位が中国政府によって脅かされていると懸念しており、同政府による香港国家安全法導入方針を契機に民主派のデモが再び勢い付いた。

中国政府の香港マカオ事務弁公室の張暁明副主任は、香港市民が政治情勢に関して現在どのように振る舞うかが、47年以降の地位に影響を及ぼすことになると示唆した。香港の長期見通しについて中国高官が発言するのは異例。

同氏は、香港に関するオンラインセミナーにネット中継で参加し「香港の多くの人々が2047年以降の『一国二制度』の行方について考えているのに私は気が付いた」と説明。

「新たな権限の獲得に向けて、香港は中国の全国民とその代表である全国人民代表大会(全人代)にどのような実績を示すだろうか」と問いかけた。

また、国家安全保障への貢献が強ければ強いほど、「一国二制度」の余地が広がると語った。

香港での分離や政権転覆、テロリズム、外国からの介入を阻止することを目的とする香港国家安全法については、少人数が標的になるだけで、香港の自由や国際的な金融ハブとしての地位に影響は及ばないと述べた。

香港の主要課題は、経済的なものではなく政治的だとした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染13人 2桁台8日連続
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・3万人死亡のイタリアが欧州で真っ先に国境開放した切実な理由
・街に繰り出したカワウソの受難 高級魚アロワナを食べたら...


20200616issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年6月16日号(6月9日発売)は「米中新冷戦2020」特集。新型コロナと香港問題で我慢の限界を超え、デカップリングへ向かう米中の危うい未来。PLUS パックンがマジメに超解説「黒人暴行死抗議デモの裏事情」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IT大手決算や雇用統計などに注目=今週の米株式市場

ワールド

バンクーバーで祭りの群衆に車突っ込む、複数の死傷者

ワールド

イラン、米国との核協議継続へ 外相「極めて慎重」

ワールド

プーチン氏、ウクライナと前提条件なしで交渉の用意 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中