最新記事

中国

コロナ禍は人災

2020年3月9日(月)11時40分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

これに対して2月19日、菅官房長官は記者会見で「必要な公務や用務であれば欠席はやむを得ない」との認識を示しているが、これが「新型肺炎の対応について政府一丸となった対応」を強調してきた安倍内閣の実態だ。

おまけに森氏は3月3日、アリババの馬雲(ジャック・マー)がマスクを送ったことに対して、自身のツイッターに、「友人のジャック・マーが、日本に手を差し伸べてくれました。 素敵なメッセージと共に100万枚のマスクを送ると表明してくれました。是非記事を読んでみてください。 昨年12月にも東京で語り合う時間がありました。次再開する時にしっかりと感謝を伝えたい。ありがとうジャック」と書いている。

この事実は軽視してはいけない。

日本国民の命を水際で必死になって守らなければならないはずの入国管理局を管轄する法務大臣が、コロナ対策本部会議を欠席して書道展に出席していただけでなく、中国に諂(へつら)わんばかりのツイート。

馬雲と会ったことがあるのが自慢なのか。

「ありがとうジャック」とは、何という「おぞましい」ばかりの表現だろう。身の毛がよだつほどの嫌悪感を与える。

これが、こともあろうに水際を命がけで守っていなければならない法務大臣の言葉か。

このツイートは、中国がコロナを発生させ全世界に蔓延させたことは「できるだけ見ないようにして矮小化させる」という習近平の望みを叶えてあげている安倍政権の全てを物語っている。きっと安倍政権の中では、この「中国共産党への阿(おもね)り」、「習近平への諂い」が常習化しているのだろう。だから、このようなツイートが自然に出て来る。

ただ「たるんでいる」というだけでなく、日本国民の命や安全な日常生活より、習近平への忖度が優先されている安倍政権の意識が、いかんなく発揮されているツイートなのである。これを任命者である安倍首相は咎めもしない。

この一点を見ただけでも、現在の感染拡大は、安倍内閣がもたらした人災であると断言できるのではないだろうか。

日中首脳は「同じ穴の狢(むじな)」か

習近平は初動の失態をカバーすべく、2月7日に李文亮医師が亡くなってからは、「コロナ防疫対策は、全てこの私が主導してきた」と異様なまでに強調するようになった。

中国共産党の管轄下にある中央テレビ局CCTVも、声を張り上げて「偉大なる習近平国家主席の主導の下に、全人民は防疫戦役に立ち向かっている!」と繰り返している。初動の遅れを取り戻そうと、「この私が」に必死なのである

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中