最新記事

新型コロナウイルス

ドイツ保健相「パンデミック」宣言、イタリアで全学校・大学休校......止まらない感染連鎖

Coronavirus Update, Map As Death Toll Hits 3,300

2020年3月6日(金)13時00分
スー・キム

ローマ市内のレストランからは客の姿が消えた Yara Nardi-REUTERS

<イタリアを筆頭にヨーロッパ各国で感染者数が急増、中東サウジアラビアではイスラム教信者の聖地巡礼を停止させる事態に>

新型コロナウイルスの感染拡大についてWHO(世界保健機構)はまだ「パンデミック(世界的な大流行)」とは宣言していない。しかし感染者数が262人に急増したドイツでは、保健相がこの事態はすでに「世界規模のパンデミック」だと訴えた。

ドイツのイェンス・シュパーン保健相は4日、連邦議会で「中国で発生した新型コロナウイルスは、世界規模のパンデミックになっている」と述べた。「事態は急速に悪化している。はっきりしているのは、まだ感染拡大のピークが見えていなことだ」

ドイツでの感染者は全域で確認されているが、そのうち半数が最も人口が多いノルトライン・ベストファーレン州に集中している。感染対策を担当する政府機関RKIは、「今後ドイツでは、さらなら感染者の増加、感染の連鎖が予想される」と警告している。

イタリアではこれまでに3000人以上の感染が確認され、107人が死亡している。イタリア政府は、全国すべての学校と大学を3月15日まで休校することを決定した。

感染拡大が特に集中して発生している北部では、すでにいくつかの学校が休校になっていた。イタリアでは連日500人前後という急速なペースで感染者が増加している。

「医療機関は十分な対応能力があるが、対応しきれなくなるリスクがある。問題はICU(集中治療室)が足りなくなることだ」と、ジュゼッペ・コンテ首相は国民に警戒を呼び掛けた。

イタリア政府は政令で「人が集まり、人との安全な距離(1メートル以上)が取れないようないかなるイベントも中止」するよう定めている他、映画館、劇場の閉鎖、あいさつの握手や抱擁を避けるよう求めている。またプロサッカーリーグの「セリアA(アー)」も観客なしで試合が行われている。

webw0305-map01.jpg

3月5日時点で確認された新型コロナウイルスの感染拡大状況

インドでも緊張が高まる

世界第2の人口を抱えるインドでは、イタリアからの旅行者など4日時点で28人の感染者が確認され、緊張が高まっている。

大統領官邸で予定されていた、参加者が色鮮やかな粉をお互いに投げ合う、春の訪れを祝うヒンドゥー教のホーリー祭は、多数が参加するなかで感染が広がるおそれがあるため中止された。

政府機関は、大規模なコミュニティーレベルの感染拡大を回避するために、感染クラスターの封じ込め対策の強化を検討している。インド各州に対して、感染を村落レベルで食い止める隔離施設の準備を指示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ

ワールド

米、ロシアが和平合意ならエネルギー部門への制裁緩和

ワールド

トランプ米政権、コロンビア大への助成金を中止 反ユ

ワールド

ミャンマー軍事政権、2025年12月―26年1月に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 7
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中