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軍事衝突シリア政府軍、北西部の反政府勢力の拠点に進軍 トルコは攻撃継続を警告
シリアのアサド政権軍は、反体制派の拠点である北西部イドリブ県の要衝サラケブに再び進軍した。一方、反体制派を支援するトルコはアサド政権軍への攻撃を継続する考えを示した。2月28日、空爆のあったサラケブで撮影(2020年 ロイター/Umit Bektas)
シリアのアサド政権軍は2日、反体制派の拠点である北西部イドリブ県の要衝サラケブに再び進軍した。一方、反体制派を支援するトルコはアサド政権軍への攻撃を継続する考えを示した。
トルコはアサド政権軍が反体制派の最後の拠点であるイドリブ県の制圧を止めるため、過去1カ月でシリアに多数の兵士と軍車両を投入しており、シリア北西部ではここ数日で戦闘が激化。トルコとシリアの国境地帯では12月以降、100万人の難民が発生しており、国連は9年前から続くシリア内戦で最悪の人道危機となっている可能性を指摘する。
サラケブで取材するシリア国営テレビの記者によると、反体制派の撤退を受け、アサド政権軍は同市内をパトロールしているという。一方、反体制派筋は、同市の西部で衝突が継続していると述べた。人権団体「シリア人権監視団」(英国)は、反体制派は再びサラケブを奪還することを狙っていると指摘した。
サラケブの北には政権軍が制圧したアレッポ市、西には反体制派が掌握するイドリブ市があり、双方にとって重要性は高く、一進一退の攻防が約1カ月前から続いている。
トルコは前週に自国軍の兵士34人がイドリブ県で殺害されたのを受け、シリアへの軍事介入を強めており、1日には同県でシリア軍機2機を撃墜し、アレッポ県の少なくとも1カ所の軍用空港を攻撃した。
トルコのエルドアン大統領はアンカラで演説し、「(シリア)政権の人的そして軍装備の損失は始まったばかりだ」と強調、シリア軍にトルコが決めた境界線まで撤退するよう求めた。
アサド政権を支援するロシアは、シリア上空を飛行するトルコ機の安全は保証できないと警告。シリア政府はイドリブの空域を閉鎖すると表明した。
エルドアン大統領は、5日にモスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、イドリブを巡り合意を目指す考えも示した。「停戦やそのほかの必要な措置を取るというのが私の希望だ」と語った。
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