最新記事

2020米大統領選

アイオワ民主党の欠陥投票アプリを作った会社と候補者のあやしい関係?

Shadow Inc Lists 'Client Success Rep' Job Posting Amid Iowa Caucus Failure

2020年2月5日(水)17時10分
ベンジャミン・フィアナウ

アイオワ州党員集会でスマホに見入るエリザベス・ウォーレン候補の支援者たち(2020年2月3日)Brian Snyder -REUTERS

<アイオワ州の民主党党員集会で投票の集計が大幅に遅れている。元凶の投票アプリを作った会社シャドウと民主党は癒着していたのではないか、という噂まで飛び出した>

2月3日、民主党の大統領候補指名争いの初戦となるアイオワ州の民主党党員集会が開催されたが、いくら待っても投票結果が出ないという異常事態に陥った。原因は投票を集計するモバイルアプリの不具合で、技術的な問題はいまだに解決されていない。アプリを開発した会社シャドウには、全米から非難と疑惑のまなざしが向けられている。

3日夜、アイオワ州の民主党関係者はシャドウのモバイルアプリを通じて選挙区の投票結果を送信しようと何時間も奮闘したが、うまくいかなかった。同州の民主党幹部は1月、このアプリがあれば、1700の会場で行われる党員集会の投票プロセスがよりスムーズになると主張していた。

党員集会の集計の遅れに衆目が集まった4日の朝、ある求人サイトに「クライアントサクセス(顧客の成功)担当者」を募集するシャドウの広告が掲載され、たちまちソーシャルメディアで嘲笑の的になった。なにしろ、「[応募者は]テクノロジーがいかに選挙活動を盛り上げ、主催者の成功を後押しするかを理解する必要がある」とあるのだから皮肉だ。

シャドウは民主党が何らかの取引をしていたのではないか、という陰謀論も飛び出した。シャドウの共同設立者でCEOのジェラルド・ニエミラは、2015~16年にヒラリー・クリントンの支援団体に所属していたヒラリーの選挙対策本部の元メンバーだ。

SNSの嘲笑の的

アイオワ州党員集会の失態を見て、ネバダ民主党のウィリアム・マッカーディ委員長は4日、声明を出した。「昨夜のアイオワ州党員集会で起きたことは、2月22日のネバダ州党員集会では起きないと保証します。われわれはアイオワ州で使用されたアプリやベンダーを採用しません」

4日午後になってやっと発表された党員集会の中間集計で首位に立ったのは、インディアナ州サウスベンド前市長ピート・ブティジェッジ。民主党候補のなかで最年少の穏健派だ。無名だったが、最近アイオワ州の世論調査で支持率トップになり、有力候補として浮上した。そしてシャドウのジェラード・ニエミラCEOは、ブティジェッジ陣営のデジタルディレクターと結婚したと報じられている。

ワシントンに拠点を置くシャドウは、デジタル戦略を専門とする民主党系非営利団体アクロニムの技術部門だ。ウォールストリート・ジャーナルの報道によると、アイオワ民主党は昨年6月、シャドウに約6万3000ドルを支払って「手頃な価格で簡単に使える投票ツール」の開発を依頼した。

<参考記事>米民主党アイオワ州党員集会、若手のブーテジェッジが暫定1位
<参考記事>注目を集めるミレニアル世代の大統領候補ピート・ブーテジェッジ

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中