最新記事

レバノン

ゴーン逃亡のレバノンが無政府状態に、銀行も襲撃される

2020年1月20日(月)11時00分
ハッシェム・オセイラン

銀行を襲うデモ隊(1月14日、ベイルート) MOHAMED AZAKIR-REUTERS

カルロス・ゴーン日産元会長の逃亡先レバノンが、政治・経済危機に揺れている。1月15日、首都ベイルートでデモ隊が治安部隊と衝突し、多数の負傷者が出た。

その前日にはドルの預金引き出し制限に激怒した抗議者たちが銀行を襲撃したばかりだった(編集部注:1月18日、19日にもデモ隊と治安部隊の衝突があり、報道によれば、2日間で負傷者が490人超となっている)。

反政府デモは10月半ばから続いているが、国民の怒りは銀行にも向けられている。金融危機を回避するため、多くの銀行が引き出しを月約1000ドルまでに制限しているからだ。預金者は自国通貨レバノンポンドでの取引を余儀なくされているが、同通貨は対ドルで急落している。

状況を複雑にしているのは、反政府デモの圧力により10月末にハリリ首相が辞任して以来、レバノンが無政府状態にあることだ。12月にディアブ元教育相が新首相に指名されたが、組閣には至っていない。

一方で混乱の元凶であるハリリはデモを「受け入れ難い」と非難し、ベッリ国会議長はデモ隊の狙いは「国を破壊すること」と発言している。

<2020年1月28日号掲載>

20200128issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マスク氏の「政府効率化省」、国民はサービス悪化を懸

ワールド

戦後ウクライナへの英軍派遣、受け入れられない=ロシ

ワールド

ロシア、ウクライナ東部・南部のエネルギー施設攻撃 

ワールド

韓国、中国製鋼板に最大38%の暫定関税 不当廉売「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に最適な野菜とは?
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 7
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    イスラム×パンク──社会派コメディ『絶叫パンクス レ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中