敗れたのは習近平──台湾総統・蔡英文圧勝
注目すべきはトランプ大統領が同時(アメリカ時間12月30日)に、「2020国防権限法案」に署名し、同法が成立したことである。同法は今後、アメリカの国家情報機関に対して、「台湾が中国の動きを見極め、(中国の干渉を)食い止めるのを支援し、自由で公正な選挙を行えるようにアメリカの情報機関が努力したことを米議会の関連委員会に報告する義務」を要求している。
つまり、アメリカの「国防権限法」と台湾議会の「反浸透法」はペアで動いていたのである。
同法にはほかにも、「アメリカは台湾とのサイバー・セキュリティー分野における連携強化」、「台湾との安全保障分野における交流強化や合同軍事演習の実施」、「台湾の防衛能力確保(武器支援)」などが盛り込まれている。また同法は「台湾旅行法に基づいた米台高官の交流促進」や「米軍艦による定期的な台湾海峡の通過を続行する」ことも強く要求している。
米台が緊密に連携し合って北京政府に対抗する米台協力体制を構築していることが見えてくる。
特にサイバー攻撃に関しては北京が台湾を隠れ蓑のような中継点としてアメリカに攻撃をかけている事実があるからだ。
だからアメリカは北京に対抗して台湾の利益を守ることはアメリカを守ることだとみなしている。
台湾回帰する大陸の台湾大手企業
一方、米中貿易戦争のあおりを受けて、中国大陸で製造した他国の製品にも、アメリカにより高関税がかけられる。そこで中国大陸に進出している多くの他国の企業が中国大陸から撤退して第三国に生産拠点を移動させ始めているが、中でも台湾の大手企業が台湾に引き揚げる動きを加速させていることが注目される。
台湾政府の経済部投資台湾事務所が2019年11月28日に発表したデータによれば、既に156社の台湾企業が大陸から台湾に引き揚げており、台湾への新しい投資総額は7034億ニュー台湾ドル(約2.58兆円)で、56,759の職位を台湾に提供することができるという。
これに対して北京政府は台湾企業を撤退させまいとしてさまざまな妨害を試みている。たとえば台湾が大陸で最も多く投資している地域は蘇州で、 蘇州の台湾企業の数は11000社に達し、蘇州の外資の3分の2は台湾資本だが、中国政府は台湾企業が大陸から撤退できないように、台湾企業が使用している蘇州工場の不動産などは、最低3年あるいは5年は売却することができないなどの法令を出して規制しようとしている。