全面戦争か外交か 司令官殺害でイランが選ぶ選択肢は
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アラブ湾岸諸国研究所(ワシントン)のシニアフェロー、アリ・アルフォネ氏は、イランが行動を急ぐとは考えにくいと指摘。「司令官が殺害された以上、反撃し報復する以外に選択肢はないが、イランは忍耐強い国だし、攻撃のタイミングと内容はわれわれにはまだ分からない」と話した。
中東以外での影響力行使
イランと親イラン国家が中東以外の地域で影響力を行使する可能性もある。
1994年にはレバノンを拠点とするシーア派過激組織ヒズボラ(神の党)のメンバーがアルゼンチン・ブエノスアイレスのユダヤ系協会本部ビルを爆破し、85人が死亡した。アルゼンチンはイランとヒズボラの攻撃だと非難したが、両者とも責任を否定した。
アルゼンチンでは92年にもブエノスアイレスのイスラエル大使館が攻撃され29人が死亡、アルゼンチンはヒズボラによる犯行と主張している。
カーネギー国際平和財団のサジャドプール氏は「よりありそうなのは、米国の権益と同盟国が地域的、世界的に親イラン組織からの攻撃対象になり続ける事態だ。イランには欧州やアフリカ、アジア、中南米でそうした攻撃を仕掛けてきた長い歴史がある。ただ、結果の成否はまちまちだった」と語った。
外交的解決
イラン指導部はこれまで、経済が米国による制裁で圧迫された局面などでは外交的解決の門戸を開いてきた。
中東の外交筋は「イランと米国は過去にアフガニスタンやイラクなどで協力してきた。共通の利益と共通の敵がある。軍事衝突は両国に高くつくが、外交は多くの問題を解決し得るし、それは一つの選択肢だ」と述べた。
米国は2018年に15年核合意から離脱した。イランは、米国がこの核合意に復帰し、全ての対イラン制裁を解除しなければ、いかなる対米交渉もあり得ないとしている。
一方ポンペオ米国務長官はソレイマニ司令官殺害後、米政府は緊張緩和に取り組んでいると述べた。
サジャドプール氏は「多くの人が第3次世界大戦を予言しているが、イランの過去40年の歴史は、同国に最重要なのは国家の存続だということが映し出されている。イラン政府は厄介な経済制裁や国内の騒乱に直面しながら米国と全面戦争する余裕はない。ソレイマニ司令官亡き今となってはなおさらだ」と話した。
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