最新記事

中東

イラク議会、駐留米軍含む外国部隊の撤退求める決議 米は再考求める

2020年1月6日(月)10時13分

1月5日に招集されたイラクの議会は、同国に駐留する米軍やその他の外国部隊の撤退を求める決議を可決した(2020年 ロイター/Iraqi parliament media office)

5日に招集されたイラクの議会は、同国に駐留する米軍やその他の外国部隊の撤退を求める決議を可決した。米軍がイラクの首都バグダッドで、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害したことを受け、イラク国内で反米感情が高まっている。

米国とイランの間では威嚇の応酬が激化しており、ポンペオ米国務長官は、イランやその関係組織による米国人や米国の施設に対する新たな攻撃があれば、米国政府はイランの政策決定者を選んで標的にすると警告した。

欧州連合(EU)や英国、オマーンなどは両国に対し、外交的努力によって危機を打開するよう呼び掛けている。

イラク議会によるこうした決議は通常、政府に対する拘束力はないものの、この日可決された決議は影響力を持つ可能性が高い。

同国のアブドルマハディ暫定首相はこれより先、議会に対してできるだけ早期に外国部隊の駐留を終わらせるよう要請していた。

米国政府はイラク議会の決議に対して遺憾の意を表明。国務省のオルタガス報道官は「きょうの決議の法的性格や影響がより明らかになるのを待っているが、イラクの指導部に対しては、米国とイラクの現在の経済・安全保障面での関係、およびISIS(過激派組織「イスラム国」)を打ち負かすための国際的な協調体制を継続することの重要性について、再考するよう強く求める」とする声明を発表した。

イラクには現在、約5000人規模の米軍が駐留しているが、その役割は助言などが中心となっている。

アブドルマハディ暫定首相は「国内的にも対外的にも困難が伴うかもしれないが、原則的にも実質的にも、米国主導の外国部隊の駐留を終了させることが、イラクにとって最善だ」と述べた。

[バグダッド 5日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191224issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月24日号(12月17日発売)は「首脳の成績表」特集。「ガキ大将」トランプは落第? 安倍外交の得点は? プーチン、文在寅、ボリス・ジョンソン、習近平は?――世界の首脳を査定し、その能力と資質から国際情勢を読み解く特集です。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与

ビジネス

英インフレ期待上昇を懸念、現時点では安定=グリーン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中