最新記事

新型肺炎

中国、新型肺炎の死者25人・発症者830人 武漢など湖北省10都市が交通機関停止

2020年1月24日(金)19時00分

封じ込め措置拡大

1100万人の人口を擁する武漢市の当局は23日、大半の公共交通機関の運行を停止した。航空機の出発便を停止し、鉄道駅を閉鎖したほか、市外に出ないよう市民に要請した。同市に近接する黄岡市(人口約700万人)も同様の措置を発表した。WHOの中国代表を務めるガウデン・ガレア氏は「これほどの大規模な都市封鎖は前例がない」と話した。

湖北日報が24日伝えたところによると、湖北省では計10都市が一部交通機関の運行を停止している。

赤壁、仙桃、枝江、潜江、咸寧、黄石、恩施市はバスの運行を停止。枝江市は病院、スーパーマーケット、ファーマーズマーケット、ガソリンスタンド、薬局を除くすべての公共施設を閉鎖した。

恩施市は屋内の娯楽施設も閉鎖。また、鄂州市は列車の駅を閉鎖している。

湖北省当局によると、同省では23日時点で549人の感染が確認されており、死者は24人。

また政府系地元紙の長江日報が24日報じたところによると、武漢市は感染患者に対応するため、ベッド数1000床の病院を新たに建設する作業を急いでいる。

同市近郊の地元労働者向け娯楽関連施設がある周辺で建設作業が進められており、早ければ週明けの完成を目指している。

24日付の北京日報によると、北京市政府は新型肺炎の感染地域への旅行から戻った市民に対し、14日間自宅から出ないよう指示した。

上海市政府も、「主要地域」から同市に移動してきた人々を対象に、自宅か、あるいは隔離所に14日間とどまるように指示した。

春節消費に冷や水

中国国内では、感染拡大を防ぐための措置が各地でとられ、観光にも影を落としている。

リゾート地として知られる海南島(海南省)の海口市は、図書館や美術館などの文化・観光施設を閉鎖。

北京では、春節の行事を含む大規模なイベントが取りやめとなり、市内有数の観光地である紫禁城も閉鎖された。

通常ならこの時期、大勢の観光客が訪れる上海ディズニーリゾートも、25日から営業を一時停止すると発表した。[nL4N29T1HV]

米国務省は23日、新型肺炎の流行に伴い、中国国内での旅行に一層注意するよう呼び掛けた。

台湾は武漢市からの訪問者が域内に入ることを禁止した。

*内容を追加しました。

[北京 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20200128issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年1月28日号(1月21日発売)は「CIAが読み解くイラン危機」特集。危機の根源は米ソの冷戦構造と米主導のクーデター。衝突を運命づけられた両国と中東の未来は? 元CIA工作員が歴史と戦略から読み解きます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:トランプ氏の自動車関税、支持基盤の労働者

ビジネス

2025年度以降も現在の基本ポートフォリオ継続、国

ビジネス

TSMC、台湾で事業拡大継続 新工場は7000人の

ビジネス

午後3時のドルは149円付近に下落、米関税警戒続く
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 9
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 10
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中