開発援助を軽視するジョンソンの勝利で、イギリスは国際社会の信頼も失う
JOHNSON’S WIN IS A LOSS FOR BRITISH POWER
第二次大戦の終結後、イギリスは外交努力を3つの地域(アメリカと英連邦諸国、そして欧州大陸)に集中してきたが、一つ大事なものを忘れていた。中立的な国際機関だ。フランスはIMFを、北欧諸国は国連平和維持活動などを重視してきたが、イギリスの存在感は薄かった。EU離脱後のイギリスが世界で存在感を維持するには、こうした国際機関と向き合うしかない。しかし国際開発省がなくなれば、イギリスの閣僚や外交官の足はますます遠のくだろう。
トランプ大統領のアメリカは偏狭な一国主義に堕してしまったが、貧困や環境破壊などのグローバルな問題は国家の枠組みを超えている。だからこそ国益を超えた機関がODAを所管する必要がある。国際開発省を格下げすれば、イギリスは貧困の解消に貢献する力も、そうした活動を主導する名誉も失ってしまう。
<2019年12月31日/2020年1月7日号掲載>
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2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。