最新記事

ロシア

ドイツがロシア外交官2人を国外追放 ジョージア国籍の男性殺害事件めぐり

2019年12月5日(木)09時14分

ドイツ外務省は4日、ドイツでジョージア(グルジア)国籍の男性が殺害された事件について、捜査にロシアが十分に協力していないとし、駐独ロシア大使館の外交官2人を国外追放したと発表した。ワシントンのロシア大使館で昨年8月撮影(2019年 ロイター/BRIAN SNYDER)

ドイツ外務省は4日、ドイツでジョージア(グルジア)国籍の男性が殺害された事件について、捜査にロシアが十分に協力していないとし、駐独ロシア大使館の外交官2人を国外追放したと発表した。

この事件は、独首都ベルリン中心部の公園で8月、ジョージア国籍の男性が殺害されたもの。独検察はロシアかチェチェンが殺害に関与したとみている。

英国で昨年、ロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘が毒殺未遂に遭った問題で、ロシアとドイツやその他の西欧諸国との関係はこれまでも緊迫していた。

独検察官はロシアやチェチェン当局が殺害を指示したことを示す手掛かりは十分にあると主張。ロシアが被害者をテロリスト指定していたことも指摘した。殺害された男性はチェチェンでロシアとの戦闘に関わっていた。

独当局は事件後、容疑者を逮捕。独誌シュピーゲルは容疑者の男のパスポート番号がロシア連邦保安庁とのつながりを示していると報じた。

この日のドイツの対応にロシア外務省は反発。ロシアメディアによると、外務省は「ドイツ側の措置は根拠がなく、敵意がある。一連の報復措置を取らざるを得ない」とした。

これを受け両国関係が悪化する可能性がある。ドイツは国内で使用するガス40%超、石油約30%をロシアから輸入している。

西欧諸国はロシアが2014年にウクライナ南部のクリミア半島を併合したことやウクライナ東部の親ロ派武装勢力を支援したことを受け、ロシアに制裁を発動。昨年はスクリパリ氏に毒を盛った事件を巡りロシアの外交官100人を国外追放した。

[ベルリン 4日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191210issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

12月10日号(12月3日発売)は「仮想通貨ウォーズ」特集。ビットコイン、リブラ、デジタル人民元......三つ巴の覇権争いを制するのは誰か? 仮想通貨バブルの崩壊後その信用力や規制がどう変わったかを探り、経済の未来を決する頂上決戦の行方を占う。


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、1カ国と貿易協定で合意と商務長官 国名は明かさ

ワールド

米、ウクライナ紛争終結へ進展なければ仲介役から退く

ワールド

インドとの関税交渉は順調、合意に至る見通し=トラン

ビジネス

商品価格、26年にコロナ禍前水準に下落 経済成長鈍
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 6
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中