最新記事

ネット配信ビジネス

日本アニメはネットフリックスを救えるか?

Netflix Turns to Japanese Anime To Fend-Off Disney

2019年11月11日(月)17時37分
アーサー・ビラサンタ

アニメ配信でディズニーを超えられるか?(ネットフリックスのハリウッドオフィス) Lucy Nicholson-REUTERS

<アップルやディズニーなど大手参入で競争が激化するなか、勝利の切り札との期待もあるが>

動画配信サービス大手ネットフリックスは、アメリカのアニメ配信分野における最大手の座を狙っている。それはあのディズニーをも超える、ということだ。

ネットフリックスはこれまでに、18本のオリジナルの日本のアニメシリーズを配信してきた。「ULTRAMAN」に「Devilman Crybaby」、「ソードガイ The Animation」、「バキ」、「聖闘士星矢: Knights of the Zodiac」などなど......。

いずれも人気作だが、それでもウォルト・ディズニー(およびその傘下にある人気キャラクターたち)との競争で勝てるかどうかは微妙なところだ。ディズニーはアメリカで11月12日から動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」をスタートするが、「アベンジャーズ」や「スター・ウォーズ」、「ザ・シンプソンズ」など、人気シリーズを数多く擁している。

迎え撃つネットフリックスは、日本の5つのアニメーション制作会社5社と長期的な業務提携を結ぶなどしてオリジナルのアニメ作品を拡充する計画を明らかにしている。

大手は低価格で殴り込み

これまで10年間、動画配信サービス業界は基本的に、ネットフリックスの独壇場だった。だがここに来て、大手が相次いで安い料金と充実した番組ラインナップを武器に参入しようとしている。すでに料金の安いアップルやアマゾン、NBCやAT&T傘下のワーナーメディアに市場を奪われつつあるのが現状だ。

9月、アップルは動画配信サービス「アップルTV+(プラス)」を月額たった4.99ドルで開始すると発表した。ディズニー+でも、標準的な月6.99ドルのプランで高精細動画の視聴が可能になるという。

一方、ネットフリックスは1月に料金を13〜18%引き上げており、基本プランはライバルよりずっと高い月8.99ドルだ。価格競争では勝てないから、オリジナルのアニメコンテンツに力を入れざるをえない。

ネットフリックスは、オリジナルコンテンツに資金を投じて「ULTRAMAN」や「EDEN」といった新作アニメを今後も送り出していく戦略だ。もっとも、アメリカのアニメ配信市場を独占しようという試みは、スタジオジブリ作品の大半の配信権をワーナーメディアの動画配信サービスHBOマックスに奪われてしまったことで後退を余儀なくされている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中