最新記事

2020米大統領選

米民主党最有力のウォーレンは危険なイデオローグ?

Is Elizabeth Warren an Ideologue?

2019年10月25日(金)18時00分
ウィリアム・サレタン

地道な選挙活動が実を結び民主党の筆頭大統領候補に躍り出たが SHANNON STAPLETON-REUTERS

<持論は国民皆保険や巨大企業分割──支持率トップを競う注目の左派候補民主党ウォーレン上院議員の資質を読み解く>

来年の米大統領選の民主党候補はエリザベス・ウォーレン上院議員なのか。今や支持率トップをうかがう勢いのウォーレンは、不公平な富の分配について明確で説得力あるメッセージを打ち出す。ハーバード大学法科大学院元教授で頭脳は明晰、経済にも精通し、ライバルのジョー・バイデン前副大統領よりはるかに分かりやすい。演説はカリスマに満ち、集会などでは有権者の質問に素晴らしい回答ぶりを見せている。

それでも、ウォーレンを大統領候補に指名するのは民主党にとってリスクが大きい。その数々の才能の裏には、観念的で特定の主義にこだわるイデオローグの魂が潜んでいるからだ。

仮に民主党候補に指名されても、大統領選をイデオローグとして戦えば(あるいは、共和党側がそうしたイメージを植え付けることに成功すれば)、共和党候補となるドナルド・トランプ大統領の再選はぐっと現実味を帯びる。たとえトランプに勝ったとしても、ウォーレンは民主党にとって「残念な」大統領となり、共和党の人気復活を実現してしまう可能性が高い。

果たして、ウォーレンの本質とは何か。10月15日に開かれた4回目となる民主党主要候補者のテレビ討論会から浮かび上がってくる答えは、不吉なものだ。

候補者12人が参加した討論会では、いくつかの点で現実主義的な姿勢を見せたのは確かだ。半自動ライフルなど殺傷力の高いアサルトウェポンの問題については、没収という対策ではなく、実現可能性のある銃規制法の制定に焦点を当てることを提案。シリアからの米軍撤退には賛同を示しつつ、関係各国などとの交渉による合意の一環として実施すべきだと語った。

ところが、最大の争点である医療保険制度については、強制的と見なされる不人気な路線に固執した。

民間の医療保険を全廃して、基礎的な公的医療保険に置き換える国民皆保険(メディケア・フォー・オール)制度を導入すべきだと、ウォーレンは主張。民間保険という選択肢を残しつつ、任意で加入する「希望者対象の国民皆保険」方式を採用する道を退け、「膨大な数の人々を置き去りにする計画を受け入れる気はない」と語った。

財源の具体論は語らない

ウォーレンいわく、その理由は2つある。

第1に、民間の保険会社の場合、保険対象を制限したり請求を拒否したりできることだ。「保険内容が充実しているのは診断が下されるまで。いざとなると『その高額癌治療は対象外です』と保険会社に言われるような在り方は許容できない」と述べた。

第2に、保険会社は必要な治療に対する給付金の支払いを拒否して経営を維持することばかりにとらわれ、医療費抑制に少しも貢献していないと、ウォーレンは主張する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪最大の年金基金がハッカー被害、貯蓄引き出し パス

ワールド

ヘグセス米国防長官を調査、フーシ派攻撃の情報漏えい

ビジネス

ゴールドマン、原油価格予想を下方修正 関税と供給増

ワールド

韓国大統領罷免、60日以内に選挙 尹氏「申し訳ない
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 6
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 7
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 8
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 9
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中