最新記事

環境保護運動

拡大する環境保護運動「絶滅への反逆」、ロンドンで逮捕者1400人超に

2019年10月15日(火)17時32分
松丸さとみ

ロンドンの金融街で抗議運動する「エクスティンクション・リベリオン(絶滅への反逆)」 Henry Nicholls-REUTERS

<世界各地でデモを繰り広げている環境保護を訴える市民運動「エクスティンクション・リベリオン(絶滅への反逆)」。ロンドンでさらに拡大している......>

ベルギー王女など逮捕者1400人超

環境保護を訴える市民団体「エクスティンクション・リベリオン」(絶滅への反逆、略してXR)は10月7日から世界各地でデモを繰り広げており、英ロンドンでは、地元紙メトロによると現地時間14日時点で、1400人以上の逮捕者が出るほどの事態になっている。これまでに、ロンドン・シティ空港占拠の他、トラファルガー広場での座り込みやイベント、金融街シティでの座り込みなどが行われた。

トラファルガー広場では、ベルギー王室のマリー=エスメラルダ王女が10日、座り込みに参加した際に逮捕された。エスメラルダ王女はベルギーのフィリップ国王の叔母にあたり、第4代ベルギー国王レオポルド3世の娘。ジャーナリストや環境活動家として活動している。

スカイニュースは、エスメラルダ王女が警察署から受け取った手紙の写真を掲載。そこには、今回は起訴せずに釈放するが、捜査は続行し、新たな証拠が見つかれば再逮捕の可能性があると記されている。

トラファルガー広場では他にも、俳優のベネディクト・カンバーバッチさんなどが座り込みに参加し、ボリス・ジョンソン首相の父親スタンレー・ジョンソンさんがイベントで講演するなど、著名人の姿が目立った。

カンバーバッチさんへは「偽善者」との批判も

デイリーメールによるとカンバーバッチさんは9日、トラファルガー広場に姿を現した。ロンドンで映画「Louis Wain」(ルイス・ウェイン、邦題未定)の撮影中だったというカンバーバッチさんは、座り込みで夜を明かそうと準備をしていたデモ参加者と一緒に座り、写真撮影に応じたり、おしゃべりしたりして数時間、一緒に過ごしたという。

とはいえ、カンバーバッチさんは英自動車メーカー、MGがインドで展開しているコンパクトSUV「ヘクター」のブランド・アンバサダーとしてコマーシャルにも出演している。そのためデモへの参加が「偽善的」だと批判する声も上がっている。

CMの中でカンバーバッチさんは、トラファルガー広場やウェストミンスター橋、国会議事堂前などをヘクターで走り抜ける。エクスプレス紙はこの車がガソリン・エンジンを搭載しており、CMで通り抜けるのは、XRのデモ活動により封鎖されている道路だと皮肉を込めて伝えている。サン紙によると、こうしたことからツイッターには、「聖人ぶった詐欺師」「浅はか」などカンバーバッチさんを批判する声もあったという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

国際刑事裁判所、イスラエル首相らに逮捕状 戦争犯罪

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中