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中東イラク反政府デモ、1週間で死者110人 貧困地区で新たな衝突
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イラクの反政府デモは発生から1週間が経過し、合計死亡者は110人に達した。写真は燃えるタイヤの間を走るデモ参加者。10月3日、バグダッドで撮影(2019年 ロイター/Wissm al-Okili)
イラクの反政府デモは発生から1週間が経過し、合計死亡者は110人に達した。大半はデモの参加者で、治安部隊の強圧的な取り締まりが原因だ。6日夜にも貧困層が多く住むバグダッド東部サドルシティーでデモ隊と治安部隊が激しく衝突し、15人が亡くなった。7日遅くにはこうした当局の暴力に抗議する人々が集まり始めた。
サドルシティーにはバグダッドの人口800万人の3分の1が集中し、多くの人は電気や水道もなく、職に就いていない。このためいったん騒乱状態になると、鎮圧が難しくなることが過去の例で示されてきた。
ただ7日の段階で見ると、状況はやや改善している。軍部隊は撤収し、警察にパトロールが引き継がれた。過去に反政府活動を組織したシーア派聖職者モクタダ・アルサドル師の支持者らとの正面衝突を避けたいと、当局が考えている様子がうかがえる。
ロイターがサドルシティーの住民の1人に電話取材したところでは、路上は終日落ち着いていた。地元の民兵が被害状況を調べるためにこの地区を訪れ、警察は周辺に配置されていた。
一方、当局がデモを無理やり抑え込んだり、メディアを攻撃していることについては、通常は細かい政治問題には口出ししないサレハ大統領がテレビで異例の非難演説を行い、治安部隊の暴力行為の調査を要望した。
さらにサレハ氏は、デモで示された不満に対処するために閣僚の交代や選挙改革を求め、暴力の被害を受けた人への補償がなされるべきだと付け加えた。
国営テレビによると、政府当局もデモの取り締まりで「不適切に行動した」治安部隊のメンバーには相応の責任を取らせる方針を表明している。
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