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アメリカ外交トランプ、国連演説で対イラン圧力呼び掛け 平和の道にも言及
トランプ米大統領は24日、国連総会で行った一般討論演説で、イランの「血の欲望」を批判し、同国に圧力を掛けるため米国に歩調を合わせるよう他国に要請した(2019年 ロイター/Lucas Jackson)
トランプ米大統領は24日、国連総会で行った一般討論演説で、サウジアラビアの石油施設攻撃に関連し、イランの残虐性を批判し、同国に圧力を掛けるため米国に歩調を合わせるよう各国に求めた。同時に平和へ向けた道は残されているとも強調した。
トランプ大統領は「全ての国は行動する義務がある。責任ある政府はイランの血への欲望を支援すべきではない」とし、「イランが脅迫的な行動を続ける限り、制裁は解除されず、強化されることになる」と言明した。
さらにイランが核兵器の追求を放棄しない限り、制裁を通じ同国の経済に圧力を掛け続けると確約した。
さらに「われわれが望んでいるのはパートナーであり、敵ではない」と強調。「戦争を仕掛けることは誰にでもできるが、平和の道を選ぶのは、最も勇敢な者のみだと米国は理解している」と語った。
トランプ氏の一般討論演説は3回目。過去2回の演説に比べ、抑制的なトーンにとどまった。
トランプ大統領の演説中、ロウハニ大統領はニューヨーク市内のホテルにとどまり、会場には姿を見せなかった。記者団に対しては、米国が対イラン制裁を解除すれば、2015年に締結した核合意の小幅な修正を巡り協議することに前向きと語った。
ロウハニ大統領は、米FOXニュースのインタビューでトランプ氏の「血への飢え」というコメントについて問われると、米国によるシリア空爆に言及。「米国は、残念ながらわれわれの地域で、テロを支援している。米国の行く先々で瞬く間にテロが広がっている」と述べた。
マクロン仏大統領は記者団に対し、同日中にイラン核問題を巡り、何らかの進展があることを期待していると語った。マクロン大統領は23日、ロウハニ大統領と会談した。
メルケル独首相も24日、ロウハニ大統領と会談。メルケル氏によると、米国との協議を促すとともに、協議開催の前に制裁が解除されるとイランが見込むのは非現実的だとの見方を伝えたという。
一方、トランプ大統領は演説で、中国の習近平国家主席に対しても厳しいメッセージを発した。中国がどのように香港の情勢に対応するかが注目されているとし「中国の対応が、将来の世界における中国の役割を大きく左右するだろう。われわれは習主席の偉大な指導者としての対応に期待している」と語った。
米中通商交渉については「米中が合意できると期待する。合意は両国に恩恵をもたらす。しかし、米国民にとって不利な取引を受け入れることはない」と再表明した。
*内容を追加しました。
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