通貨戦争にエスカレートした米中対立、追い詰められているのはトランプのほうだ
Once Again, China Is Showing Trump That Trade Wars Are Not “Good, and Easy to Win”
トランプが一方的に関税を導入できる理由の一つは、議会が傍観を決め込んでいるからだ。トランプは国家安全保障を理由に、中国企業にアメリカでの調達や販売を禁じることで中国の競争力を削ごうと試みることはできる。だがトランプには、正真正銘の専制国家である中国と同じレベルの裁量はない。
そこで問題になるのが、今の中国指導部とトランプの最大の違いだ。米中両首脳のうち、近いうちに選挙を戦わなければならないのはトランプだけだ。これまで彼は、アメリカの農家に大規模な支援を行って対中関税のマイナス効果から守ることで、農家からの政治的反発を免れてきた。
だがアメリカ経済は実際、中国との貿易交渉の行き詰まりの悪影響を受けていると考えるほうが普通で、人民元安が進んだ8月5日には、株式市場も反応を見せた。ウォール街が今後も不安定な動きを続け、企業投資が減り続けて経済成長や雇用に悪影響を及ぼしはじめれば、トランプは最終的に、自分の政治生命とプライドのどちらかを選ばなければならなくなるだろう。
(翻訳:森美歩)
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