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軍事アメリカと対立する中国が、欧州に軍事で急接近中
今年4月の軍事パレードに参加した中国海軍の兵士 Jason Lee-REUTERS
<ドイツ軍とは医療部隊の合同訓練、フランス海軍とは合同訓練やスポーツ交流......軍事面でも経済面でも中国は欧州に活路を見出そうとしている>
アメリカとの貿易戦争に解決の糸口が見えないなか、中国は欧州との関係を深めている。
中国当局は、ドイツ軍の医療部隊が7月3日から2週間実施する訓練に参加するため、中国軍の医療部隊がミュンヘンに向かったことを明らかにした。16年に続いて2度目となる両国の合同訓練では、多数の死傷者が出る事態やコレラのような感染症の大流行を想定した訓練が行われる。
フランスとの連携も始まっている。7月1日、フランス南部のトゥーロン軍港に中国海軍のミサイル駆逐艦「西安」が入港。5日間にわたり、フランス海軍との合同軍事訓練やバスケットボールの親善試合などで交流を深めた。
中国は巨大経済圏構想「一帯一路」の一環でアジアやアフリカ諸国に巨額のインフラ投資を行ってきたが、次の狙いである欧州への投資拡大でも徐々に成果を上げつつある。3月に欧州を歴訪した習近平(シー・チンピン)国家主席は、イタリアとの間で一帯一路への協力に関する覚書を締結。フランスからも巨額のビジネス契約を取り付けた。中国マネーの受け入れに批判的だったドイツのメルケル首相でさえ、習との会談後は、一帯一路において欧州が「積極的な役割を果たしたい」と述べた。
だが、中国の影響力増大がもたらすリスクへの懸念は大きい。なかでもアメリカは、欧州の対中貿易拡大に強く反対。華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)など5G通信ネットワーク関連の中国企業の製品を採用する国とは、機密情報を共有しないと警告している。
アメリカが中国への対抗意識を燃やすのは経済面だけではない。米軍は中国が領有権を主張する南シナ海の海域で、定期的に駆逐艦を航行させる「航行の自由」作戦を展開。中国が6月末から7月初旬にかけて同海域で行ったミサイル発射実験についても、強い言葉で非難した。
これに対し、中国外務省の耿爽(コン・ショアン)報道官は7月3日にこう反論している。「南シナ海に空母を展開しているのはアメリカのほうだ。南シナ海を軍事化し、静寂を邪魔しているのが誰なのか国際社会は分かっている」
<2019年7月16日号掲載>
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