八村塁を指名したNBAウィザーズは2番目に希望が持てないチーム
「人事部長不在」のなかで行われた新人指名
ウィザーズはグランフェルドの後任として、実績・知名度を兼ね備た大物の獲得を目指し、一時は「昨季の優勝チームのトロント・ラプターズのマサイ・ウジリに接触か」との報道も流れていた。しかし、このGM探しは結局うまくいかなかったようで、7月19日に暫定GMのトミー・シェパードを正式なGMにすると発表。
ESPNの看板記者の一人であるブライアン・ウィンドホーストによると、新GMのシェパードはベテランのスカウトとのことで、八村のことはそれなりに把握して指名したと思われる。ただドラフト直後には「ウィザーズは事前のワークアウトもコンタクトもなしに八村をいきなり指名していた」といった話もESPNで報じられており、このあたりにいまのウィザーズの混乱ぶりが伺えるとも感じられた。
「禍福はあざなえる縄の如し」で頑張って欲しい
故障回復が順調に進んでいないジョン・ウォールが試合に出ず、ブラッドリー・ビールもシーズン終了をまたずに来年2月のトレード締め切りまでに放出となれば、八村選手は単なる先発メンバー以上の存在、つまりチームの新しい中心選手にならざるを得なくなるだろう。
これは、その年のドラフト予想で10番代(10〜20位くらい)だった新人選手にとってはいささか荷が重い役回りかもしれない。いっぽうで、昨季のMVPであるヤニス・アンテトクンポ(ミルウォーキー・バックス)、そしてファイナルMVPのクワイ・レナード(トロントで優勝後、LAクリッパーズに移籍)がそれぞれその年の15位指名でNBA入りしていたことを考えると、八村選手本人の努力次第ではリーグ全体で一目置かれる選手となり、末永く現役を続けられる選手になることも可能かもしれない。そうは言っても、400人くらいしか枠のないところに毎年40~50人の新人が加わっては次々に淘汰されていく、何とも厳しい世界であることは確かなのだが......。
こうして、組織として不安定なチームでの選手生活をスタートすることになりそうで、八村選手にとっては当面逆境が続くかもしれないが、なんとかうまく切り抜けて、リーグを動かすスーパースターのひとりになってくれることを期待したい。