次期米国防長官代行は「中国脅威論者」 陸軍長官マーク・エスパーの横顔
経歴には湾岸戦争とレイセオン
シャナハン氏に否定的だった人々は、安全保障政策の経験のなさと、防衛大手ボーイングの幹部だったことが利害の対立になりかねないと批判していた。
エスパー氏もまた、米防衛大手レイセオンで7年間、政府対応部門バイスプレジデントを務めたことに対し、懸念の声があがっている。
独立非営利団体の「プロジェクト・オン・ガバメント・オーバーサイト」のディレクター、マンディー・スミスバージャー氏は、「次期国防長官代行が元レイセオン幹部だということは喜びがたい」と語る。
しかしエスパー氏には、1986年に卒業した米陸軍士官学校にまでさかのぼる軍での豊富な経験がある。陸軍のホームページによると、1991年には 第101空挺師団の一員として湾岸戦争に参加。その後、欧州で空中機動ライフル部隊を率いた。国防総省での経験には、国防次官補代行も含まれる。
米政府関係者が、イランとの緊張を高めることが、中国とロシアを焦点に置く国家防衛戦略にどう影響を与えるかと頭を悩ませるタイミングで、エスパー氏は国防総省を率いることになる。
国防総省はここ数週間で、中東への増派を2回発表。派遣される兵士は総勢約2500人となる。
この数字は、エジプトからアフガニスタンまで、同地域に派遣されている7万人の米兵士と比較するとごくわずかだが、大幅な増派をすれば今度は中国とロシアに対応できなくなる、と専門家は指摘する。
与党・共和党を含めた議員らは、職を失うことを恐れず率直に発言できる、より力を持った正式な国防長官がいまだ指名されていないことを懸念している。
史上最も長い国防長官代行となったシャナハン氏は、トランプ大統領との意見の相違で突然辞任したマティス前国防長官の後任として起用された。
上院軍事委員会の委員長、共和党のジェームズ・インホフ上院議員は、エスパー氏に信頼を寄せる。「トランプ大統領は彼のことを買っているし、大統領は私も同意見だと知っている」
下院軍事委員会の委員長を務める民主党のアダム・スミス議員も好意的だ。
「エスパー氏は、何年も前に連邦議会のスタッフだったころや民間で働いていたときから知っている。国防総省が彼のリーダーシップから得られるものは多いだろう」
(翻訳:宗えりか、編集:久保信博)
[ワシントン ロイター]
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