最新記事

フィリピン

フィリピン大統領「私も同性愛者だったが『治した』」

Philippines President Duterte Says He Was Once Gay, 'But I Cured Myself'

2019年6月3日(月)17時00分
シェーン・クロウチャー

日本の安倍首相官邸で会見するフィリピンのドゥテルテ大統領(5月31日) Kazuhiro Nogi /Reuters

<「フィリピンのトランプ」ドゥテルテが東京で問題発言>

フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が先週、来日した際に、自分はかつて同性愛者だったが「治した」と発言して物議を醸している。

フィリピンのオンラインメディア「ラップラー」によれば、ドゥテルテは政敵であるアントニオ・トリリャネス上院議員について、体の動きが見るからに同性愛者だと揶揄。また、元妻のエリザベス・ジマーマンに出会う以前は自分も同性愛者だったと「告白した」という。

「つまりトリリャネスと私は似た者同士だが、私は自分で(同性愛を)治した」と、ドゥテルテは5月30日、あるスピーチで述べたという。「(元妻の)ジマーマンとの関係を始めて、そうだこうでなければと思った。私は再び男になったんだ」

ドゥテルテはこれまで、性的少数者の権利についてはころころと意見を変えてきた。2016年に大統領に当選する以前は同性婚の導入を唱えていたのに、その後は同性カップルの結婚の代わりに異性婚と同等の法的権利を認める「シビル・ユニオン」制度支持へと鞍替えしている。

「同性婚はいい。幸せになる権利は誰にでもある」。これは15年、ドゥテルテがテレビの人気トークショーで行った発言だ。

「同性愛」への意見は二転三転

ところが2年後、大統領になった彼はあるスピーチで、性に対する捉え方が多様化しているアメリカの潮流を批判した。「男にも女にもなれるからジェンダーはないというのはあちらの文化だ。私たちには当てはまらない」と述べたとBBCは伝えている。

「われわれはカトリックで、(男である)自分が結婚できるのは女性のみ、女性は男と結婚すると定めた民法がある。これぞフィリピンの法律で、なぜ(多種多様な)ジェンダーを受け入れなければならないのか」

ちなみに今回の同性愛に関する発言は、同性愛のカトリック司教と児童虐待の問題をめぐる1月の発言に続くものだ。ドゥテルテは自らの過激な麻薬撲滅政策を強く批判しているカトリック教会と衝突してきた。

「司教どもはろくでなしだ。実のところ、連中の大半はゲイだ」とドゥテルテは1月、新設される高校の起工式で述べた。「連中はカミングアウトして独身の誓いを捨て、男の恋人を持っても構わないことにするべきだ」

ドゥテルテは過激な麻薬撲滅政策において、警察や武装民兵による超法規的な殺人を後押ししてきた。また、麻薬密売の撲滅につながることを期待して扇動的な言葉をあえて使い、暴力に油を注いでいる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 10
    強烈な炎を吐くウクライナ「新型ドローン兵器」、ロ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中