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G20大阪サミットG20大阪サミット閉幕 米中首脳決裂回避も解消みえず、トランプは日米同盟へ不満公言
20カ国・地域(G20)首脳会議は自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕した。だが、トランプ米大統領は日米同盟の見直しにも言及しており、参院選を控える中で安倍政権は新たな課題を突き付けられたかたちだ。写真は大阪市内で記者会見する安倍首相(2019年 ロイター/Jorge Silva)
20カ国・地域(G20)首脳会議は29日、自由で無差別な貿易環境の実現に向けた首脳宣言を採択し、閉幕した。懸案だった米中首脳会談の決裂も回避され、貿易協議を今後再開する。もっとも制裁関税そのものは残ったままで、解消の道筋は見えない。トランプ米大統領は日米同盟の見直しにも言及しており、参院選を控える中で安倍政権は新たな課題を突き付けられたかたちだ。
首脳宣言でG20は、世界経済の現状について「安定化の兆しがあり、年後半から2020年にかけ緩やかに回復する」との見通しをあらためて示した。
一方、米中貿易摩擦やイラン情勢を念頭とする貿易・地政学的リスクに対処するため、「さらなる行動をとる用意がある」と表明した。貿易分野では「自由で公平、無差別、予測可能で安定した貿易・投資環境を実現するため努力し、市場が開かれた状態であることを維持する」との認識を共有し、世界貿易機関(WTO)改革を巡って「建設的に取り組む」ことも併せて明記した。
安倍晋三首相は、閉幕後の記者会見で「世界は結束できると信じて議長国を務めた。自由貿易の基本原則をG20で明確に確認できた」と述べた。
懸案だった米中貿易協議の決裂は回避された。G20宣言に先立つ米中首脳会談で、両国は貿易協議を再開することで合意し、米国がスマートフォンやパソコンなども含めた3250億ドル相当を新たに課税対象にする制裁関税の発動は先送りする。
トランプ大統領は「われわれは軌道に戻った」と述べ、中国との交渉を継続するとの認識を示した。新華社通信によると、中国の習近平国家主席は会談で、中国企業を公平に扱うことを望むと表明した。
G20閉幕後の会見では、トランプ大統領が日米同盟の見直しに言及し、「破棄することはまったく考えていない。不平等な合意だと言っている」と語った。「条約は見直す必要があると安倍首相に伝えた」ことも明らかにした。
日米同盟のベースとなる日米安保条約に米大統領が疑念を示すのはきわめて異例で、トランプ大統領の発言は、茂木敏充経済再生相とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表との間で協議を重ねている貿易交渉に影響する可能性もある。
<IMF専務理事、貿易障壁引き下げを訴え>
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は29日、サミット閉幕にあたり声明を発表し、関税などの貿易障壁引き下げを訴えた。
専務理事は通商摩擦により投資や貿易が鈍化するなど世界経済が困難な局面にあるとし、「米中の協議再開を歓迎する一方、すでに発動された関税は世界経済を抑制しており、未解決の問題は今後の大きな不透明感につながっている」と指摘した。
今後の世界経済についてIMFは一定の成長の強まりを予測しているが、見通しへのリスクは引き続き深刻とし、各国中銀は今後の指標をみながら政策調整する必要があるとの認識も併せて示した。
(竹本能文 編集:山口貴也)
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