最新記事

米中衝突の核心企業:ファーウェイの正体

トランプの言うことは正しい

WHEN TRUMP IS RIGHT

2019年5月15日(水)11時40分
フレッド・カプラン(スレート誌コラムニスト)

約25年前、銀行や発電所や鉄道、送電網といった重要インフラのオンライン管理が始まった時期なら、サイバー攻撃への意識が薄く、コスト削減と効率最大化を優先したネットワークが構築されたのは無理もないと思える。だが、サイバーセキュリティーの重要性が認識されるようになったとき、テクノロジー業界は「アメリカのイノベーションを窒息させる」として規制強化に強く反対した。

もはやそんな言い訳は通用しない。今やサイバー攻撃は日常茶飯事であり、サイバーセキュリティーはドル箱産業だ。それなのに企業も一部の国々も、5Gネットワークがもたらす多くの可能性をつぶすことを恐れ、徹底的な対策に二の足を踏んでいる。

その点、アメリカの企業と政府は、少なくともファーウェイのように明らかに悪質な業者を締め出すことにおいては、正しい措置を取っている。米企業は企業秘密の窃盗を含め、どの国の企業よりもサイバー攻撃の標的となり、そのダメージ緩和に大きな投資をしてきたから当然かもしれない。

だが外国の多くの企業や政府は、明白な脅威に見て見ぬふりを続けている。彼らに提案したいことは1つ。もし警告を発しているのが、トランプ以外のアメリカ大統領だったらどう受け止めただろう。それを考えることが現実に目を向ける第一歩になるはずだ。

©2019 The Slate Group

<2019年5月21日号掲載>

※この記事は本誌「米中衝突の核心企業:ファーウェイの正体」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。

20250211issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月11日号(2月4日発売)は「中国経済ピークアウト」特集。人類史上かつてない人口減で「アメリカ超え」に赤信号 [PLUS] DeepSeekの実力

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米12月求人件数、55.6万件減少 過去14カ月で

ワールド

ウクライナ大統領「米企業の投資にオープン」、トラン

ワールド

メキシコは協力的、カナダは取り組み必要 合成麻薬対

ワールド

米中首脳の電話会談巡り情報交錯、4日に実施されない
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 6
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 7
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 8
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 9
    メキシコ大統領の外交手腕に脚光...「トランプ関税」…
  • 10
    手塚治虫「火の鳥」展 鑑賞チケット5組10名様プレゼ…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中