最新記事

台湾

鴻海の郭会長、2020年1月の台湾総統選出馬を正式表明 平和・安定・経済を重視

2019年4月17日(水)19時12分

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長(写真)は、2020年1月の台湾総統選挙に出馬すると正式に表明した。対中融和路線の野党・国民党の予備選挙に参加する。台北で16日撮影(2019年 ロイター/Tyrone Siu)

台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は17日、2020年1月の台湾総統選挙に出馬すると正式に表明した。対中融和路線の野党・国民党の予備選挙に参加する。

郭氏はこれに先立ち、自身が生まれ育った新北市板橋にある寺院「慈恵宮」で、100人超の群衆を前に、この寺院に祭られる台湾で有名な海の女神「媽祖」が2日前に夢に現れ、立候補するよう告げられたと語った。

「媽祖は私に『苦しむ人々のために良い行いをし、若者に希望を与え、台湾海峡の平和に貢献すべきだ』と語りかけた」と説明し、その指示に従うと表明した。

郭氏はその後、台北の国民党本部で「平和、安定、(台湾の)経済の将来が私の基本的価値観だ」と述べた。

その上で同党に対し、国民党の精神、国民党員の名誉、国民党の失われた若者の支持を取り戻すよう求めた。

郭氏は16日、次の台湾総統選挙に出馬するかどうかを検討中と明らかにしていた。

蔡英文総統のシニアアドバイザーを務める姚嘉文氏はロイターに対し、郭氏に中国との幅広いビジネス上のつながりがあることを考慮すれば、同氏の出馬は問題を引き起こす可能性があると指摘。「台湾の安全保障にとって問題だ。彼(郭氏)はかなり親中国的であり、富裕層を代表している。台湾人から支持を得られるだろうか」と述べ、国民党の予備選挙で苦戦するとの見方を示した。

嶺南大学(香港)の地域安全保障アナリスト、張泊匯氏は、郭氏の出馬により台湾の歴史において最も異例の選挙戦が始まりそうだと指摘。ロイターに対し「台湾政治にとって全く新しいものだ。(郭氏は)生身の政治学やイデオロギーではなく、実業家の現実的な視点で物事を見る候補者だ。興味深いシナリオになるだろう」と語った。

[台北 17日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

トランプ氏のロシア産原油関税警告、市場の反応は限定

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、突っ込み警戒感生じ幅広く

ワールド

イスラエルが人質解放・停戦延長を提案、ガザ南部で本

ワールド

米、国際水域で深海採掘へ大統領令検討か 国連迂回で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中