「史上最悪」日韓関係への処方箋
To Rebuild Relations
韓国側にも日本側の立場や論理にも耳を傾ける寛容さが欲しい。具体的には、天皇や原爆などについて史実と実態に基づく理解を持つ。できれば、天皇を「日王」でなく天皇と呼ぶ。80年代までと、金大中、盧武鉉政権はそう呼んでいた。また、戦前と戦後の日本を区別し、「旭日旗」も認める雅量が欲しい。
「史上最悪」といわれる日韓関係だが、必ずしもそうとも言えない。政府関係とメディア・ネットの雰囲気は最悪だが、昨年の日韓往来者数は史上初めて1000万人を突破した。村上春樹や東野圭吾を読み、BTSやTWICEに熱狂する、スピードスケートの小平奈緒と李相花(イ・サンファ)の抱擁に感動する日韓の新たな「文化人」に期待を寄せたい。
それでも納得がいかずケンカしたければ仕方ない。だが、日韓葛藤を喜ぶ習近平(シー・チンピン)の慇懃なほほ笑みと、日韓が慕うアメリカの碩学ジャレド・ダイアモンドの忠言を想起してからでも遅くはない。「韓国人と日本人は同じ血を分けているのに長年互いに敵意を抱いてきた......彼らは成長期を共に過ごした双子兄弟に似ている。東アジアの政治的未来は、両国が古代に築いた紐帯を成功的に再発見できるかどうかに懸かっている」
<本誌2019年02月26日号掲載>
※2019年2月26日号(2月19日発売)は「沖縄ラプソディ/Okinawan Rhapsody」特集。基地をめぐる県民投票を前に、この島に生きる人たちの息遣いとささやきに耳をすませる――。ノンフィクションライターの石戸諭氏が15ページの長編ルポを寄稿。沖縄で聴こえてきたのは、自由で多層な狂詩曲だった。
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